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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

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それからの私はまた少し変わったとは思う。苦手と避けていた管理システムから始め日本支部全体を把握……かなり苦戦する姿を階級持ちに見せましたが、これはこれでいいと思えるもの。なんでも出来るではなく私も人なのだと、盟主だとて苦手なことはあると手足である階級持ちに知らしめたほうがいい、その方が有利に動く時もある私自身と共に……ルークは渋い顔をしていましたが。
(本部中央全ての情報を網羅していたとは、気づかない私も私ですか)
最近の私は部屋に端末を持ち込み中央側の動向を調べている、一番の狙いは桜澤霧斗の動きでありどれだけ中央に食らい付けるかを知りたい。東条が見込みないのであれば桜澤の方に傾くのは自然の理、中央側のデーターによれば既にロシアには居らず日本滞在、この時点で雑務をこなせる無階級を二十名ほど連れて行ったらしい。
「全員アジアン……それもほとんどが日本人ですか、まあ見る目はあるんでしょう」
本人は日本人だが渡航覆歴はなく今回が初めての日本入り、それでこの判断をするのであれば向こうも私のようにかなり日本というものを調べてきているのか日本というものを知っていたのか、どちらにせよ適切な判断力はありそう。
ですが肝心の調教師に関しては一切引き抜いておらず……違いますねCross sels内にある調教師養成機関には足しげく通っているよう。
「人選に時間を掛けている、でしたか? それにしても一人も決めていないとはなにかがおかしくありませんか?」
私がこの話を聞いたのはまだ香港滞在時のこと、それから数ヶ月は経過しているのになぜ決めない? 私が引っ掛かるのはこの一点。

