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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

「どんな意図があるんでしょう、この桜澤霧斗という人物は」
あいにくと本人を断定する画像が見当たらず容姿は謎のまま、私も探してはいるんですが上手くカメラから逃れているようでなかなかヒット出来ず。まあ隠れるという点ではルークが手本みたいなものですから絶対に監視カメラから逃れる術はないなんてことはありえないと確信はしていますが、それでも上手い方だとは思いますよ。
「失礼します、追加の資料を……」
「どうしてそこで言葉を止めますかね? しかもかなり必死に調べている私より早いとは」
「はぁすみません。この手は自分の得意分野なもので……」
「怒っているわけではありませんよ」
「まぁ……」
「追加でしたね」
「はい、では失礼します」
「…………はぁ」
ルークの言葉足らずも相変わらず……いえ更に口数が少なくなってしまった。元々そこまで口が上手いわけではない、環境のせいか真面目で不器用だと分かってはいるがここまで態度を硬化させてしまうとは……。
「私の方がやりにくいんですよルーク」
私自身のことは歩み寄るでなんとか解決には向かっていますが、ルークのほうはこじれる一方でもう私に対し軽口すら出さなくなり、私も決まり切った言葉しか返すことが出来ない。ルークとの長き付き合いの中でこんな事は初めてであり私のほうにも戸惑いが存在する。前の素直な少年に戻って欲しいとまでは言わないがもう少し何でも話せた頃には戻って欲しい。私が唯一信頼するルーク・ガルシア、これからもそうでありたいと思っている。

