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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

痛みが安定し意識がハッキリした後に俺は事の経過を聞いた。あの爆発に巻き込まれた後ここに運ばれ更に十日ほど昏睡していたらしい、一時は命の危険もあったそうで看護婦が慌てた理由もこのせい、突如目覚めた俺に驚いたそうだ。
爆発には巻き込まれたが少しだけ着弾中心から離れていたため受けたのは爆風のみ、これが爆発に伴う飛散した爆弾の破片にでも当たっていたら俺は間違いなく命は無かった。だが重症には変わらない、背中から脇腹に広がる重度の火傷が俺を苦しめる、激痛・水膨れ・腫れ・高熱、ベットから起き上がることすら出来ず躰中は大量の包帯と点滴のチューブが何本も繋がる有様。その状態がその後何カ月も続く……火傷の方が治まりを見せるまで。
●
「…………」
あれから半年近く、俺はまだ病院にとどまったまま。火傷の痛みは殆ど引いたがこの痕は一生残る、広範囲にただれた醜い傷跡……自分で見た時は俺も落ち込んだ、もう二度と人前で肌を晒すことは出来ない集団生活も無理だろう、勿論全寮制の防衛大もだ。
それに半年も入院して体力がガタ落ちし怪我をする前の半分の力も出やしない、リハビリはしているが傷に触らない程度の軽運動だけでは俺の鍛え方には合わないんだ。とは言え無理をすれば痛むし周りからの静止が来る、こんなジレンマを抱えた半年……もう半年と言うべきなんだろう。

