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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

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なんとか自分なりに決めた一年でやりたい事への足掛かりは掴んだ。本当のことを言えばそろそろ貯金が乏しくなってきていたのでバイトなど探そう、こうも思っていたが十河さんが俺に仕事を斡旋してくれた。それは俺が望んだもの、プライベートボディーガード団体こんなものがあるのかと俺でさえ感心したほど。そこから俺は派遣される、数日のものから数ヶ月契約と多岐にわたるが俺が選んだのは数ヶ月単位のほう、そのほうがより相手を深く知れるそう思ったが故である。
(ざっと依頼内容を見たが、どれも金持ち連中ばかりだったな)
普通に暮らしていればボディーガードなぞ必要はない、この平和な日本なら尚更、必要があるのは社会的に地位がある者、後ろめたさがある金持ち……ま、そんなところか。
回されたのは社会的に地位があるさる代議士の自宅、内容は外出時の身辺警護になるが自宅警備もそこそこに含まれていそうな雰囲気。俺の他にも数人居るのだから交代制になるんだろうよ。
今日は俺が外を担当、後部座席に対象者を乗せ運転手と助手席に俺と見た目は普通とそう変わらない。だが今の俺の服装は黒服に濃い色のサングラスとお世辞にも善人には見えない恰好だろう、そんな俺が対象者の前を歩けば大概の連中は引くそのための俺だ。
「ここまででいい」
「はい、では周辺警備に回ります」
「……」
対象者は室内で会合らしいが俺は扉の前で待機が基本、不測の事態に備え対象者からあまり離れない事これもまたボディーガードの仕事の内。下に対し多少口は悪い対象者だが俺はそこまで気にならない、それこそ防衛大時代の縦型社会からみればまだかわいいほうだ。

