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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

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あのめんどくさい対象者との契約が切れ俺は次の対象者と契約、更新の話もあったが流石に断ったぞ、事あるごとに女をあてがわれるのはもう御免被る。
次は現役引退した大手会社の会長、まだ発言権はあるらしいが本人は会社に囚われず気楽にしていたいらしい。護衛は外出時のみ、後は危険などなさそうだが軽く自宅周辺をチェックしていればいい。前の時とはかなり違う内容、だが俺の方もかなり気楽にはなった。
「あら、今日もご苦労様」
「いえ……。それが仕事ですので」
「そう。ああ、お茶とお茶菓子を用意したので食べて」
「ありがとうございます」
庭で洗濯物を干していた会長の奥様が気軽に声を掛けてくる、立場があると驕ることもなく普通な雰囲気で俺としてもやりやすい。
合間休憩も自由で、俺は奥様に貰った茶菓子を一口。
(甘いが癖になるな、こう毎日だと……)
防衛大の頃は縁が無かった甘い物、意外に好きだと気づいたのはつい最近の話。大男の甘味好きは引かれるだろうなと思いつつも、三食甘い物でもいいそんなことを思っていたりもする。これがケーキ類にまで手を伸ばすのは後々のこと、今は奥様が出してくれる甘味で満足中。
……だからだろうか、俺はこの会長がもつ裏の趣味に気付けなかったのは。

