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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

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イェンフゥイとのたわいもない話を終えて私はライランが居る九龍へと足を運ぶ、先ほどの話の通り調教師をやるために。
長い人生調教や拷問の類は知っているし多数この手に掛けては来たが、ここは中央がマニュアル化した地下clubで女性は商品であり調教師は客見せ要素も含まなくてはならない、数ヶ月ここに潜り込んで私も慣れましたがね。対象に私情を挟まないのがCross selsの調教師、それ故に調教が過激になることもしばしば。これは調教者を潰してしまった場合臓器へと流れていくため、手加減なくショーをするこんな一面もある。
(私的には不服ですが……)
過去はともかく今の私は殺してまで調教したいとは思っていない、どちらかといえば血を見ず穏やかな調教のほうがいい。血は眠れる私を呼び覚ます……そう盟主という私を。
「香港でなくとも私が理想とするclubはないでしょうか。……いいえ、マニュアルが存在している以上考えても無駄な話というもの」
中央が認めている限り私が考えるようなclubは存在するはずもなく……全く馬鹿な考えですね私らしくもない、この裏社会から抜け出せもしないくせに理想など。
そんなことを考えて歩くのは早い、海を渡ったはずなのにもう九龍の裏路地にある地下clubに到着。頭を切り替えなければ、今の私はコンラート・ゼクス中央の数ある調教師の一人、穏やかに見せかけて対象を調教するのが私のプレイスタイル。絶対に裏を見せないこと、それが外に出た私に対する拘束……人とは違うと悟らせないように全てを封じることを私自身に誓った。……この誓がその後長く続くことになる。
「今日は新しい調教者が入ったと聞きましたが?」
「あぁ、(中国)本土から七名流れて来た、今最低限の措置をさせているが終わったらコンラートに任すことになるだろう」
「私はまたショーに出れずですか?」
「ショーまでのお膳立てをするのがなかなか居なくてな、下手に任せるとショーの前に潰しやがる。その点をかんがみれば無理のない調教をするコンラートが打ってつけというもの」
「私も調教師なんですがね?」
「もちろん分かってはいる調教に手を抜かないことも、だが現状ではお前しか居らん」
「はぁ、分かりました」

