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縛られたい
第11章 まりあさんの過去〜阿部
「排卵日に家に呼ばれた時、
私、初めてだったから、
何がなんだか、判らなかったんですよ。
胸とか触られても気持ち良いより、
何、これ?って感じ。
小説のラブシーンみたいな、
目眩くような感じにはならないし、
脚の間に手を入れられて触られても、
気持ち良いより、そんな処、恥ずかしいし、
無理に指とか挿れられると痛くて…。
おまけに、年齢のせいか、
相手はなかなか可能な状態にならない。
それでね、
無理矢理舐めさせられたんです。
グロテスクだし気持ち悪くて泣きたくなりました。
私のことも、無理矢理舐めて、
全然潤ってないのに、その後、無理矢理挿れられて、
本当に裂けるかと思って…辛かった。
出血したのを見て、
満足そうに笑ってたけど、
私は痛さで帰りたくてしょうがなかった。
それなのに、また、無理矢理するんです。
その日、帰り際にとても大きなダイヤモンドの指輪を私の左手の薬指に嵌めて、
『これで君は僕のモノだよ』って言いました。
でも、指輪のサイズも合ってなくて、ブカブカでした。
帰りも送ってくれる訳ではなくて、
運転手さんの車で。
その後も付き合ってるっていう感じはしてなくて、
4週間ごとに呼び出されて、
何度も子作りの為の行為をする。
その繰り返しでした。
私の家は父が早くに亡くなっていて、
母と2人暮らしだったので、
母と引き離すのは可哀想だから、
結婚したとしても家にそのまま居れば良いと言ってくれてて、
それもある意味、優しさなのかと思ってました。
半年位経った頃に、
生理が来なくなって…。
このことを伝えたら、
物凄く喜んでくれて、
初めての日に2人で署名捺印しておいた婚姻届を出しに行ってから、
その足で母に報告すると言って、私の家に来ました。
母は物凄く驚いていましたが、
子供が出来たという話を聴いて、
結婚を認めてくれました。
年齢差もあるから…と言って、
結婚式もなくて、
新婚旅行に行くこともなく、
そのまま通い婚みたいな結婚生活でした」



淡々と話をするまりあさんの身体が冷たくなっていくように感じて、
俺は身体を引き寄せるようにして、
背中や髪を撫でた。


「こんな話、
聴きたくないですよね?」と言うけど、

「いや。
まりあさんのことは何でも知りたいから、
辛くないなら、話をして欲しい」と答えた。


まりあさんは瞳を閉じて、話を続けた。
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