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縛られたい
第11章 まりあさんの過去〜阿部
「母が亡くなった時に、
夫は葬儀にも来ませんでした。
葬儀の時には、母の働いていた学校関係者の方や、
女学校時代の学友の方がたくさん参列してくださっていて、
真人さんのお母様も、その時、参列してくださったんですって?」
「えっ?
そうなの?
それ、初耳なんだけど?」
「私も全然知らなかったの。
優子さんのお手紙を持ってご実家に行った時に、
真人さんのお母様から言われたの。
それも、凄い偶然ですよね?」
と、まりあさんは静かに笑った。
「それでね、49日が終わった頃に、
家裁から呼び出しの書状が届いたの。
家庭関係の調整みたいなことが書いてあって、
てっきり、私を家に入れて夫婦としてまたやっていくっていう話だと思ったら、違ってたの」
「なんて言われたんだ?」
「一緒に住んで家庭のことする義務を果たさないって言われたの」
「えっ?
お母様と住んでって言われたんだよね?」
「はい。
でも、家庭内のことだから、
いくらそう言っても証拠はないんです。
事実として、私は同居もせず、
妻としての勤めも果たさず、
子供も産めない女ってことで、
離婚するって言われました。
おまけにね、家の運転手さんと浮気してるって言われたんです。
運転手さんって、夫より歳上のおじいちゃんですよ?
お手伝いさんと仲良しご夫婦で、
すごく優しくして貰いましたけど」
「酷いな」
「まあ、子供も居ないから、
離婚してもバツが付くだけし、
夫婦関係の事を言われるのも辛くて離婚に同意しようと思ってたんです。
そしたらね、私の弁護士事務所が調べたら、
夫には私と結婚する前から付き合っていた女性が居て、
入籍後も関係は続いていて、その相手の妊娠が判ったんです。
だから離婚してそちらと再婚したかったんですよね。
それと、私が母の介護で大変だったこととか、
母親の処は戻るよう私に言ってたことを、
お手伝いさんと運転手さんが何度も聴いてたと言ってくれて、
しかも、私が不在中に何度もその女性を家に入れてたことも証言してくれたんです。
その女性、お二人に横柄な態度を取っていたから、
腹に据えかねて…と仰ってましたね。
それで、私に有利なカタチで離婚が成立したんです。
でも…『子供も出来ない欠陥品』って罵られたのは、
凄く傷つきました」と言って、まりあさんは涙を流していた。
夫は葬儀にも来ませんでした。
葬儀の時には、母の働いていた学校関係者の方や、
女学校時代の学友の方がたくさん参列してくださっていて、
真人さんのお母様も、その時、参列してくださったんですって?」
「えっ?
そうなの?
それ、初耳なんだけど?」
「私も全然知らなかったの。
優子さんのお手紙を持ってご実家に行った時に、
真人さんのお母様から言われたの。
それも、凄い偶然ですよね?」
と、まりあさんは静かに笑った。
「それでね、49日が終わった頃に、
家裁から呼び出しの書状が届いたの。
家庭関係の調整みたいなことが書いてあって、
てっきり、私を家に入れて夫婦としてまたやっていくっていう話だと思ったら、違ってたの」
「なんて言われたんだ?」
「一緒に住んで家庭のことする義務を果たさないって言われたの」
「えっ?
お母様と住んでって言われたんだよね?」
「はい。
でも、家庭内のことだから、
いくらそう言っても証拠はないんです。
事実として、私は同居もせず、
妻としての勤めも果たさず、
子供も産めない女ってことで、
離婚するって言われました。
おまけにね、家の運転手さんと浮気してるって言われたんです。
運転手さんって、夫より歳上のおじいちゃんですよ?
お手伝いさんと仲良しご夫婦で、
すごく優しくして貰いましたけど」
「酷いな」
「まあ、子供も居ないから、
離婚してもバツが付くだけし、
夫婦関係の事を言われるのも辛くて離婚に同意しようと思ってたんです。
そしたらね、私の弁護士事務所が調べたら、
夫には私と結婚する前から付き合っていた女性が居て、
入籍後も関係は続いていて、その相手の妊娠が判ったんです。
だから離婚してそちらと再婚したかったんですよね。
それと、私が母の介護で大変だったこととか、
母親の処は戻るよう私に言ってたことを、
お手伝いさんと運転手さんが何度も聴いてたと言ってくれて、
しかも、私が不在中に何度もその女性を家に入れてたことも証言してくれたんです。
その女性、お二人に横柄な態度を取っていたから、
腹に据えかねて…と仰ってましたね。
それで、私に有利なカタチで離婚が成立したんです。
でも…『子供も出来ない欠陥品』って罵られたのは、
凄く傷つきました」と言って、まりあさんは涙を流していた。