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縛られたい
第12章 少しずつ、家族になる〜まりあ
「あのね、新婚旅行に行きたいんです」

「えっ?」

「それでね、折角だから、
全員で行きたいんですけど…」

「全員って?」

「私たち4人と、お父様とお母様の6人で…」

「それじゃあ、新婚旅行にならないんじゃないのかしら?」と、
阿部さんのお母様が笑う。

「新婚旅行じゃなくて、
初めての家族旅行って感じで…。
2人とも進学しちゃうと、なかなかまとまった時間、
取れなくなっちゃうし。
ダメですか?」

「僕、嬉しいな。
旅行とか、したことないもん」

「私も!
ディズニーシーにお泊まりで卒業旅行でも嬉しい!」

「ディズニーシーが良いの?
じゃあ、それも入れましょうね?
それで、みんな、パスポート持ってる?」

「あるよ?
去年、お姉ちゃんが修学旅行で作った時に、
身分証明書にもなるからって、お父さんと僕も作ったから」

「私たちもあるわよ?」

「良かった!
じゃあ、10日くらい、頂けますか?」

「まあ、私たちはもうリタイアしてるし、
動物も飼ってないから大丈夫だけど…」

「まさとさんも、大丈夫よね?
私、こっそり仕事の納期、調整しちゃってたから」

「えっ?
そうなの?」

「まりあさん、何処に行くの?」

「えっと、私の唯一の肉親が、
イギリスの郊外に住んでいるので、
紹介したいの。
私も数年、会えてなかったから。
大丈夫!
飛行機に乗る前に、
ディズニーシーにも行きましょうね?
ミラコスタが良いかしら?
飛行機より予約取れないかもね?
まずは、そっちの予約して…と。
お母様、お家にお送りする時に、
パスポート番号、写メさせてくださいね?
それと、イギリス国内で行きたい処あったら、
教えてください」


「まりあさんのおじいちゃんって、イギリス人なの?」

「そうよ。
でも祖母は日本人だから、
日本語で大丈夫よ?
嬉しいな」


阿部さんのご両親を車で送って、
ご実家に立ち寄って、
パスポート番号の処を写メさせて貰いながらお茶を飲んでいると、
お父様が古いアルバムを持って来てくれた。


「ほら、これ…。
まりあさんのお父様でしょう?」

「まあ!
懐かしい!」

「この端っこに映り込んでるリボンとおさげ髪、
多分まりあさんのだよ?」

「えっ?
どれどれ?」

「まりあさんのお父様は、
私の大学の先輩教授だったんだよ。
こんな偶然もあるんだな」

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