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縛られたい
第12章 少しずつ、家族になる〜まりあ
客間に案内されて、
使用人の方が荷物を運んでくれる。


私が以前使っていた部屋に、
ゆりあさんは通されていたので、
私がこっそり落書きした額の裏の壁紙に描いた落書きを見せてあげたりした。

その隣が優斗くん。
そして阿部さんのご両親の部屋。


私と阿部さんは、
私の両親が使っていた大きな寝室に通された。

他の客間とは反対側で、
窓からは静かな森が見えた。


大人数での食事やお茶をしたり、
散策したりしてるだけで、
毎日長閑で楽しかった。


阿部さんとお父様は、
祖父と図書室で資料を観ながら建築の話をしているようで、
お母様と祖母はお茶を飲みながら庭の薔薇や植物の話をしたり、
刺繍を楽しんでいるようだった。


ゆりあさんと優斗くんが飽きてしまうかなと心配したけど、
ゆりあさんは客間にあったグランドピアノを見つけて、
嬉しそうに弾いていた。

「家ではアップライトピアノしか弾いたことなかったし。先生の処と、学校の講堂とか発表会くらいしかグランドピアノ、弾けないし…」と言っていたので、
譜面を引っ張り出して連弾したり、
交代に弾いたりした。


そして、優斗くんは、牧場で飼っている馬に乗ってみたいと言って、
教えて貰いながら、結構上手に乗れるようになった。

それを見て、阿部さんも乗馬を一緒にやったりしていた。

私の馬もまだ元気で、
毎日ブラシを掛けに行って、
厩舎の掃除を手伝ったりした。


それと、優斗くんを誘って、
近所の男の子達に混ざって、
サッカーをやったりしていた。

私も混ぜて貰ってサッカーをしてたら、
子供の頃のことを思い出して、
懐かしさと少しだけ哀しさに襲われてしまった。


子供の頃、
男の子になりたかった私。

なにか言われた訳ではなくても、
いつもそう思っていた。



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