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縛られたい
第14章 ささやかな誤解、そして別れ〜まりあ
葬儀告別式は本当にこじんまりとしたものだった。

地元の医師会の方、
役所の方はいらしたけど、
友人知人も殆どいらっしゃらなかった。

再婚相手だった方すら来なかった。


骨を弁護士さんや葬儀会社の方と拾いながら、
本当に寂しい生涯だったなと思うと、
可哀想で泣いてしまった。

それを見て、
「本当にお人好しだな?」と言いながら、
阿部さんも涙ぐんでいた。



菩提寺に納骨までお願いした後、
弁護士さんから思い掛けない話をされた。


治療も出来ないほどステージが進んでいたのが判った時点で、
病院も辞めて、
家も病院も更地にした上で売却して財産の整理もして、
ホスピスに入っていたこと。

財産の管理を弁護士さんが任されていて、
ホスピスの費用と私への花の発送をしていたこと。

そして、亡くなった後は、
全額、お詫びの印に私に遺したいと言っていたこと。


「税金も支払わないといけないのですが、
その辺りの処理はお任せいただければこちらでやりますよ」と言われて、
驚いてしまった。


「いや、離婚の調停の時も、
酷いこと、たくさん申し上げてしまって、
私も心苦しかったんですよ。
その後、ほら再婚相手さんのことでも、
とんでもないことが発覚して、
尚更、申し訳なかったと…。
故人もなんとか、謝りたいと言ってましたが、
とても許して貰えないだろうと思っていたから、
せめて花を贈りたいと…。
最期は看取って貰えて、
幸せだったと思いますよ」と言われた。


「私、いただけません…」と言うと、

「いやいや、
故人のたっての希望なので、
受け取っていただかないと、
私としても困ります」と言われる。


「でしたら、少し考えさせていただけますか?」


「ご本人にお任せします。
細かいことは、また、相談させていただきますね?」という話になった。

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