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縛られたい
第15章 元夫さんの手紙〜阿部
最初の頃のものは、
まりあさんの成長の記録のようなものだった。


幼い頃から、
ホームドクターとしてまりあさんを診ていた彼は、
詳細に書かれたカルテを、
他の患者のものとは別に保管していたようだった。


それは、1歳を過ぎた頃に肺炎に罹ってしまったものから始まっていた。


『お人形のように可愛い赤ちゃん
グッタリしていて痛々しい
熱が下がってくると、
僕の指をギュッと握って声を上げて笑った』

など、
カルテにドイツ語で書かれた所見以外に、
日本語でランダムにメモしてある。


身体が弱かったようで、頻繁に診察していて、
その後も定期的な健診に来ていた。

身長や体重、胸囲や座高なんかもそこには書かれている。

気管支系が弱いのか、
軽い小児喘息や、風邪、
インフルエンザ、肺炎などで来院しているのも判った。


そのくせ、お転婆な処もあり、
幼稚園で男の子に混ざってサッカーをして、
膝に痕が残りそうなほどの擦過傷を作って、
物凄く心配したことや、
バレエを習いに連れて行ったのに、
隣にあった合気道の道場に行きたいと言われてお母様が困っていたことなど、
カルテの裏に書かれていた。


「先生、大好き」と、
ヴァレンタインデーにはクッキーやチョコレートを持って来てくれて、
それを一緒に食べるのが楽しみだという記載もあった。

勿論、それは、
お母様が用意しているのも判っていたけど、
「まりあちゃん、可愛いから、
お嫁さんになって欲しいな」と言うと、
「先生、カッコいいから良いよ」と言って、
頬にキスをしてくれたことも書いてあった。


どうやら、この手紙や折り曲げたカルテが入っている箱は、
そのクッキーやチョコレートの入っていた缶だったのかもしれない。

外国のものらしく、
とても美しい絵が描かれたものだった。


小学校に入っても、
まりあさんのお転婆ぶりは続いていたようだった。


学校で貰ってきたのか、
ちょっとした病気に罹ったり、怪我をしては、
彼の病院を訪れていたのが、
カルテにも表れていた。
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