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縛られたい
第2章 仕事、そして阿部さんの家族とのあれこれ〜まりあ
「お父さん!
トイレに誰か居るんだけど!?」と、逃げるように阿部さんの処に行ってしまった。


私は手を丁寧に洗って、
捲っていた袖を整えて、
ちょっと捲れ上がっていたワンピースの裾も直してから、
2人の処に行って、自己紹介してみた。


「今日からお父様の事務所でアシスタントとして勤務することになりました、渡辺と申します。
おぼっちゃまですね?
宜しくお願いします」


「えっ?」と言う顔で私を見てから、
阿部さんの方を見て、
ポカンとしている。


「渡辺さん、パソコンすごいから、
お父さんの苦手な書類作成に来て貰うことにしたから。
今日はあまりにも事務所が汚れているからって、
掃除してくれてたんだよ。
あ、それで、
お父さんはこっちの机使うことにしたよ。
お前は、いつもの処、使って、
その隣に渡辺さん、使って貰うから。
渡辺さん、長男の優斗です。
4月に6年生になるんだよな?」
と、最後は息子さんに疑問形で訊いてるし。


「阿部優斗です」と、
ピョコンと頭を下げてくれた。


「優斗くんて呼んで良いのかな?
宜しくお願いします」と手を差し出すと、
おずおずと握手してくれた。


そして、優斗くんはいつもの場所に座って、
「あれ?椅子が違うよ?」と言った。


「あ、ごめんなさい。
私の方に置いた椅子と取り替えてね?
高さ、同じ位だったから置いてみただけだから」と笑った。


「お父さんに似て、背が高いのね?」と言うと、
照れ臭そうな顔で、
「クラスで一番高いよ?」と言った。



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