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縛られたい
第16章 縛られたい〜まりあ
突然、抜かれてしまって、
よろめいてしまう。


「お仕置きしてるのに、
喜んでいるようじゃ、
お仕置きにならないな」と言った。


「そろそろ時間だから、
浴衣に着替えて温泉行こうか?」と言って、
衣桁の隣の大きなお盆にある浴衣を渡してくれる。


「下着は着ないでね?」と言われて、
お盆に肌襦袢や足袋を脱いでから、浴衣を素肌に着た。


Tバックはすっかり濡れてしまっていたので、
洗面所で洗って干しておくことにした。


鏡越しに私を見て、
「ごめん。
お尻、痛かった?」と心配そうな顔をして言って、
浴衣越しにそっと私のお尻を撫でてくれる阿部さんが、
可愛く見えてしまって、
「大丈夫ですよ?
なんか、ちょっとびっくりしましたけど…」と言って、
背伸びをしてキスをした。


「まりあさん、可愛いから、
ちょっと虐めたくなった」

「虐めたい?」

「うん。
変かな?」

「まさとさんがしたいなら…
私、何をされてもいいわ?
あ、痛すぎるのとかは嫌ですよ。
さっき、お尻をペンペンされたのは、
なんか、支配されてる感じがして、
ドキドキしました」


阿部さんは、嬉しそうに笑って、
「じゃあ、温泉に行こうね?」と、
手を差し出したから、
指を絡めて手を繋いで、
貸切温泉に行った。



明るい時間に入る露天風呂は、
あまり色っぽさは感じられないような気がしてしまう。

身体を洗い合って、
のんびり鳥の声や川のせせらぎを聴きながら湯船に浸かる。


和装用ブラジャーとか、紐の跡が残っているのも、
なんだか恥ずかしくてそう言うと、
「じゃあ、この二日間は、
下着もつけないで、ゆるりと浴衣着てるか、
裸で過ごそうよ」と阿部さんは笑った。


お尻の処を見て、
「少し紅くなってたけど、
もう大丈夫かな?」と言われて、
さっきのあの、変な気持ちは何だったのかなと思った。


「さっきは、ごめんね?
嫌…だった?」

「んー。
ビックリしたけど…。
嫌じゃなかったかも。
変ですか?」

「なら、良かった」

「でも…」

「でも?」

「いつものまさとさんじゃないみたいだった」と言うと、
下を向いてしまう。

そして、
「そろそろ出ようか?」と言って、
そっと立ち上がらせてくれた。
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