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縛られたい
第16章 縛られたい〜まりあ
突然、携帯が鳴って驚いてしまう。

阿部さんが照れ臭そうな顔で音を止める。
「まりあさんに夢中で食事の時間、判らなくなりそうだから、
アラームセットしてた」と顎の下を掻いた。

そういう処が、
阿部さんぽいなと思って、
クスクス笑ってしまう。


程なく、仲居さんが食事を運んでくれた。

途中、女将さんも挨拶に来てくれて、
「明日はどちらかにお出掛けですか?」と訊かれた。


「いや、家だと子供たちのことで慌ただしくしてるから、
部屋でゆっくりするつもりです」と阿部さんが言うと、

「それなら、マッサージなんかもありますし、
お部屋にハンドマッサージャー、お待ちしましょうね?」と言ってくれた。


仲居さんに、
「後はこちらでやりますので…」と言うと、
「この後、21時でしたら、
個室の露天風呂、ご予約出来ますよ?」と言われて、
折角なので予約してもらう事にした。


「お風呂に行かれている間に、
食器は片付けさせていただきますので、
そのままで…」と言って、
仲居さんはお部屋を出た。


あまり飲み過ぎないようにと、
阿部さんは控えめに日本酒を飲みつつ、
のんびり夕食を終えて、
少し食休みをしてから露天風呂に行った。


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