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縛られたい
第2章 仕事、そして阿部さんの家族とのあれこれ〜まりあ
翌日はバスで事務所に向かった。

事務所のドアのチャイムを一度鳴らしてからドアノブを回すと鍵が掛かっていたので、
解錠してから入ると、
阿部さんは昨日と同じ格好で図面を引いていた。


「おはようございます。
…寝てます?」


「あ、ごめん。
俺、没頭すると音が聴こえなくなるから。
不用心だから居る時も鍵、掛けてるんだよね」


「私が居る時も掛けておきますか?」


「うん。
セールスとか来たら嫌だから、
掛けておいてくれる?」と言われて、
鍵を締めた。


「今日は、見積もり書と請求書の雛形、
作って貰えるかな?」と言って、
何処かからの見積もり書と請求書を出してくる。


名刺に書かれた内容に差し替えたりしたら、
あっという間に出来てしまった。



「えっと、次に何をしましょうか?」


「えっ?
もう出来ちゃったの?
経理って出来る?
領収書、この缶に入れてるから、
入力して貰っても良いかな?
俺のパソコンに経理のソフト、入れてるから、
それ使ってくれる?」と言って、
立ち上げてくれる。


何かを触って、
「わっ!」と言う。


「えっ?」と言うと、
なんか、エロい動画が流れた。


「ごめんごめん。
えっとえっと…。
と、慌てて消そうとするから、
取り敢えず音声をミュートにして、
そのページを閉じて、
「えっと、履歴に残ってると、
優斗くんも見れちゃったりしますから、
消しちゃいますか?」と言った。


「うん。
そうして貰えると…」


「仕事のパソコンでこういうの観てると、
悪いウィルスに感染した時に、
顧客名簿とか流出しちゃうから危ないですよ?
カード情報とかも抜かれたら困るでしょ?」と言うと、
大きい阿部さんが小さくなってる。


「私のパソコン、
置いておきますから、
観るならこっち、使って良いですよ?
パスワードも貼っておきますから」


「いやいや、そんなことは…」


「毎日、持ち歩くの重たいし、
特に使うこともないし」と私は言った。
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