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縛られたい
第2章 仕事、そして阿部さんの家族とのあれこれ〜まりあ
「内見、俺も一緒に行きたい」

「えっ?」

「だって、不動産屋って、オトコでしょ?
危ないよ。
2人きりとか」

「やだ。
阿部さん、お父さんみたいなこと言って」

「ダメかな?」

「良いですよ。
じゃあ、設計建築する立場で、物件チェックしてくださいね?」
と言って、
翌日、駅で待ち合わせをすることになった。


「叔父です」と自己紹介するのを見て、
私は笑いそうになってしまった。


駅の裏側の再開発で出来た新しいビル。
地下二階分の駐車場。
1階と2階はスーパーと専門店、病院が入っている。
3階より上が住居スペースのようだった。


リクエスト通りの広い1LDKにサービスルームがついた部屋。
多分、小分けで3LDKとして販売されるほどの広さなんだろう。
角部屋でバスルームにも小さいながらも窓があるのも気に入った。
ベランダとルーフバルコニーも広めで他の部屋からは見えなくなっていた。

価格も予算内だった。


「叔父さま、どう思います?」と、
クスクス笑いながら訊くと、
「良い部屋だと思うよ?」と生真面目な顔で阿部さんは答えた。


「じゃあ、ここで決めます。
ローン組めるか、銀行さんと相談したいから、
アポ取っていただけます?
これ、担当の方の名刺です」と、
以前貰っていた名刺のコピーを渡して、
「私からも連絡しておきますね?」と言った。


「もっと狭い部屋、あるんですか?」と、
阿部さんが訊くと、

「3階はワンルームと1DKで賃貸ですよ。
個人事業主さんや小さい会社さんが仕事で使えるような仕様になってて、
そのフロアまでは下の店舗からそのまま上がれます。
こっちの4階より上の居住階は、
エレベーターも別で、
さっきのオートロックのエントランスから入る感じです。
24時間管理人も居て、
安全性を高めてますから」


「そっちも見れますか?」と阿部さんが訊くと、
「鍵、取ってこないとダメなので、
こちらでお待ちいただけますか?」と言われた。
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