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縛られたい
第2章 仕事、そして阿部さんの家族とのあれこれ〜まりあ
「来て良かった。
ほら、こんな密室でオトコと2人なんて…。
渡辺さんが襲われたりしたらって思うと心配だ」


「えっ?
今だって、阿部さんと2人きりですけど、
襲ったりしないでしょ?
私なんか…」と言うと、
阿部さんは急に私を抱き締める。


「私なんか…なんてことはないよ。
渡辺さんは綺麗で可愛いし。
だから、無防備にオトコと2人きりとかは、
気をつけて欲しい。
俺が言う筋合いはないかもしれないけど…」


私はそっと阿部さんを押し返すようにして、

「『叔父さん』だから、心配なんですよね?
ありがとうございます」と言った。


阿部さんはそっと私の頬を指先で触れて、
唇にも触れる。


そして、髪を撫でてから、

「そうだよな。
オジサンだもんな、俺…」と言って、
目尻に皺を寄せながら優しく笑った。


「引っ越ししたら、
優斗くんと遊びに来ても良いですよ?
お姉ちゃんは…とても無理なのかな?
みんなで遊びに来てくれたら、
あっちのバルコニーで、
バーベキューしましょうね?」と言うと、
嬉しそうに頷いた。



不動産屋さんが3階の部屋の鍵を持ってきてくれて、
そちらも3部屋くらい見せて貰った。

狭いけど効率的そうな作りになっていた。



不動産屋さんは阿部さんに名刺を渡して、
「ご検討ください」と卒なく挨拶していた。


久々にいつものお店でランチを取った。


「はぁ。美味しい。
でも、阿部さん、ファミレスにスーパーのフードコート、
冷食にファストフードじゃ、
身体、壊しますよ?
優斗くんも、育ち盛りなのに!」と言うと、
悪戯を見つけられたような顔をして、小さくなる。


「あの…失礼ですけど、
奥様は?
あ、言いたくなかったら、
言わなくても良いですけど…」


「入院してるんだよね。
もう…帰って来れないと思う…」と言われて、
私は絶句してしまう。


「ごめんなさい…」と言うと、
「何処かでゆっくり話そうか?」と阿部さんに言われて、
私はそっと頷いた。
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