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縛られたい
第3章 ラブホでの出来事、そして〜阿部
翌朝、ゆりあは部屋から出て来なかった。

「ホテル街に誰と居たのか?」ということを訊けないまま、
モヤモヤした気持ちだった。


取り敢えず、優斗に朝ご飯を食べさせて、
サッカーの練習に連れていく。
コンビニでお握りやスポーツドリンクを買って持たせて、
「帰りにまた迎えに来るから」と伝えた。


ホスピスに到着して、
妻の部屋に入ると、彼女は静かに眠っていた。


「暫く目を醒さないかもしれませんね」と看護師さんに言われたので、
椅子に座って暫く彼女の寝顔を見ていた。


一瞬、もう死んでしまってはいないか?
と思うほど、顔色は黒ずんでいて、
呼吸も浅いのか殆ど動いていない。


そっと痩けた頬を触ってみたけど、
ひんやり冷たくて驚いた。


昨日、そっと触れた渡辺さんの頬は、
薔薇色でふっくら柔らかくて温かかった。


妻も若い頃は、
ふっくらとしていて、可愛かったなと思うと、
自然に顔が綻んでしまった。



ふと気付くと、
妻が目を開けて少し顔をこちらに向けていた。

あまり力がないような瞳で、
俺を見ていた。


「何か楽しいことでもあったの?」と、
小さい声で囁くように言った。


「昔は白くて柔らかくて、
なんか大福みたいな頬っぺただったなって思ったら、
笑っちゃったよ」と言うと、

「痩せてて、黒くて、
貴方、こういう女、嫌いでしょう?」と言う。


「痩せてるのは病気のせいだろ?
嫌いな訳、ないよ。
痛くないか?
看護婦さん、呼ぶ?」

「大丈夫。
ここに来るの、
珍しいわね?」

「なんか、怖くてさ」

「怖い?」

「だって…優子の寿命と向き合うの、
怖いよ?
優斗もまだ、5年生だろう?
小学校上がる時にはもう、病気でさ。
ヤツも不安だと思うよ?
何も言わないけど。
ゆりあのことは、
俺、良く分かんない。
バイ菌扱いされてるよ。
俺、そんなに汚いのかな?
臭いとか?」


そう言うと、
優子は少し身体を揺すらせて笑ったようだった。

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