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縛られたい
第5章 居候、そして優子さんとのお別れ〜まりあ
私はゆっくりとした声で言った。


「マンションの件は残念ですが致し方ありませんね?
ご担当者様を信頼しておりましたが残念です。
実家の賃貸関連の運用は、
会社の方に、ご担当者様、変更していただくよう、
伝えさせていただきます。
信頼出来ない方とはお付き合い出来ませんので。
今の賃貸借契約が完了したら、もうお取引は致しません。
売却することになっても、
再度、賃借することになっても、他の会社様を通してお願いしますから。
それと、銀行様についても残念ですが、
最初のお話の時点で良いお話をされてましたよね?」と、
若い行員を見る。

「逆に客観的に厳しい見立てを言ってくださっていれば、
別のことを検討したり、
準備も出来たかもしれなかったのに、
残念に思います。
正しく判断する為の情報ではなく、
耳触りの良いお話しかしない行員の方では、
今後のこと、心配ですので、
お取引はこれで終わらせていただきますね?
口座解約しますので、
現金、ご用意ください」

「えっ?」

「口座解約します。
解約の用紙、頂けますか?
銀行印も身分証明書も持っておりますので、
出来ますよね?
両親の代からお付き合いいただいていたと聞いてました。
永らくお世話になりました」と頭を下げてにっこり笑った。


「あの、渡辺様、それは…」

「それはなんでしょう?
私、たった今、宿なしになったんですよ?
冗談じゃないわ?」と言うと、
大の男3人は、小さくなってしまう。


「あ、次の銀行、先に決めて来ますので、
午後イチに解約手続きしに戻ってきますね?
その時に解約の書類、記載したものを持参しますので。
結構な重さになっちゃいますよね?
新しい銀行の方に手伝って貰いますから」と言って、
「では、13時にこちらに戻ります」と言って立ち上がった。


その足で2件隣にある赤い看板の銀行に行って、
ひとまず口座を開設して、
「ちょっと預金担当の上の方、お願い出来ますか?」と窓口で言ってみると、
副支店長だという男性が出て来てくれて、
「ローン相談」とある小部屋に通してくれた。

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