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縛られたい
第6章 雪解けの気配〜まりあ
目的地の最寄駅までは30分ほどだった。
Googleの地図を頼りに住宅街を歩いて、
表札を確認して門扉のインターホンを押そうとしてたら、
中から小柄な初老の女性が出てきた。
顔立ちが阿部さんに似ていたので、
お辞儀をすると、
「お電話の方?」と言われた。
「はい。渡辺です」と答えると、
「この辺り、判りにくいから迷子になってないかしらと思って、
外に出てみたのよ?
さあ、どうぞ…」と言われて、
中へと通される。
「お邪魔します」と言ってついて行く。
前庭にはたくさんの草木が春を待っているようになっていた。
「イギリスのお家みたい。
宿根草がたくさん!
薔薇もたくさんあって、
お手入れ、大変そうですけど、
来月以降が楽しみですね?」
「あら?
渡辺さん、お花がお好きなの?」
「母がとても好きだと言う割には、
仕事が忙しくて、
結局、小さい頃から私、
たくさん庭仕事、してましたから。
家はこの前、もう手放してしまったんですけど」と言うと、
阿部さんのお母様は首を傾げたけど、
詮索するようなことは言わなかった。
応接室も、古くてどっしりした家具が並んでいて、
なんとなくリフォームする前の実家を思い出した。
少しすると大柄の男性が部屋に入ってきたので、
立ち上がってお辞儀をして、
取り敢えず自己紹介する。
「初めまして。
阿部設計事務所に勤務しております、
渡辺まりあと申します。
本日は突然お邪魔しまして、
申し訳ございません」
「ああ、座ってください。
私も膝が悪いので、
座らせて頂くよ?」と、
どっしりと座った。
「それで、ご用件は?」といきなり切り出される。
トレイに載せた紅茶を置きながら、
「まあ、貴方ったら、せっかちね?
さあ、どうぞ?」と美しいウェッジウッドのカップを勧められた。
猫舌なので、少しだけ待ってから香りを嗅ぐ。
「ダージリンですね?
私、猫舌ですぐに頂けなくて…」と言うと、
「紅茶、お好きなのね?
良かったわ」と、阿部さんのお母様はにっこり笑った。
「父方の祖父がイギリス人なので、
家ではほとんど紅茶でした。
今は…忙しくてガサツにコーヒーマシンで淹れたコーヒーばかりですけど…」と言うと、
「あら、私たちも、スタバでコーヒー飲んだりもしますよ?
ネスプレッソだって置いてますしね?」と笑われた。
Googleの地図を頼りに住宅街を歩いて、
表札を確認して門扉のインターホンを押そうとしてたら、
中から小柄な初老の女性が出てきた。
顔立ちが阿部さんに似ていたので、
お辞儀をすると、
「お電話の方?」と言われた。
「はい。渡辺です」と答えると、
「この辺り、判りにくいから迷子になってないかしらと思って、
外に出てみたのよ?
さあ、どうぞ…」と言われて、
中へと通される。
「お邪魔します」と言ってついて行く。
前庭にはたくさんの草木が春を待っているようになっていた。
「イギリスのお家みたい。
宿根草がたくさん!
薔薇もたくさんあって、
お手入れ、大変そうですけど、
来月以降が楽しみですね?」
「あら?
渡辺さん、お花がお好きなの?」
「母がとても好きだと言う割には、
仕事が忙しくて、
結局、小さい頃から私、
たくさん庭仕事、してましたから。
家はこの前、もう手放してしまったんですけど」と言うと、
阿部さんのお母様は首を傾げたけど、
詮索するようなことは言わなかった。
応接室も、古くてどっしりした家具が並んでいて、
なんとなくリフォームする前の実家を思い出した。
少しすると大柄の男性が部屋に入ってきたので、
立ち上がってお辞儀をして、
取り敢えず自己紹介する。
「初めまして。
阿部設計事務所に勤務しております、
渡辺まりあと申します。
本日は突然お邪魔しまして、
申し訳ございません」
「ああ、座ってください。
私も膝が悪いので、
座らせて頂くよ?」と、
どっしりと座った。
「それで、ご用件は?」といきなり切り出される。
トレイに載せた紅茶を置きながら、
「まあ、貴方ったら、せっかちね?
さあ、どうぞ?」と美しいウェッジウッドのカップを勧められた。
猫舌なので、少しだけ待ってから香りを嗅ぐ。
「ダージリンですね?
私、猫舌ですぐに頂けなくて…」と言うと、
「紅茶、お好きなのね?
良かったわ」と、阿部さんのお母様はにっこり笑った。
「父方の祖父がイギリス人なので、
家ではほとんど紅茶でした。
今は…忙しくてガサツにコーヒーマシンで淹れたコーヒーばかりですけど…」と言うと、
「あら、私たちも、スタバでコーヒー飲んだりもしますよ?
ネスプレッソだって置いてますしね?」と笑われた。