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縛られたい
第6章 雪解けの気配〜まりあ
「ほら、この薔薇…」

「イングリッシュローズですね?」

「これ、一緒に選んだの。
翠さんも買ってたから、お庭にあったと思うわ?
娘によく似ている雰囲気だって言ってたわ」

「私…そんなに可憐じゃないです」

「可愛いけど、見た目より丈夫で、
周りを笑顔にするって言ってたのよ?」

言葉に詰まってしまう。


「明日、またお会い出来ますね?
これからもお会いしたいわ?
亡くなったお父様もね、
うちの主人の大学の大先輩だったのよ?
知ったらビックリするわね?」と優しく笑ってくださった。


「そうだわ」
と、スタスタと小さな小屋に行って花切り鋏を手に戻ると、
水仙をいくつか切って、
新聞に包んで渡してくれた。


「駅まで送りたいけど、
私も脚が悪くて…。
気をつけてね?」と言われた。


「これ、優子さんに手向けておきますね?」と言って、
頭をもう一度深く下げて、
家を後にした。



事務所の方から入ると、
阿部さんと優斗くんがぼんやり座っていた。


「ただいま」と声を掛けてから、
「母屋に行っても良いですか?」と訊いて、
洗面所で手を洗ってから優子さんにお線香を上げて、
活けてあった桜に水仙を添えた。


台所を見ると、食器がそのままになっていたので、
洗ってから、鍋の中を確認する。

煮物はほぼ、無くなっていたから、
取り敢えず、みんな食事は出来てるのでホッとした。

洗面所を見ると、
洗濯物が溜まっていたので、
分類して洗い始めて、
ついでにお風呂も掃除してから新しく沸かした。


キッチンで、炊き込みご飯を仕込んで、
若竹煮や高野豆腐の煮物、金平や切り干し大根の煮物を作っておく。

精進料理だけだと、優斗くんが食べれないかなと思って、
鶏カラだけ、別に用意しておいた。


家族だけの仮通夜とはいえ、
PTAでご一緒してたお母様や子供たちの担任の先生は立ち寄ってくれてた。

私は黒子のように、
お茶の用意をしたり、
お茶請けを出したりして過ごした。
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