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縛られたい
第8章 公開プロポーズ〜まりあ
名誉毀損に関する民事訴訟の方は思いの外、早く進んで、
先方も控訴することなく簡単に終わった。

長引かせたくない、注目されたくないという、
あちらのご主人様達の意向が強かったのと、
どう足掻いても不利な証拠しかなかったからだった。


私に対する強姦等に関する刑事訴訟は、
当初、未成年で初犯ということで、執行猶予付きの実刑判決になるのではと思われていたけど、
その後、色々なことが発覚して、別の事件で訴追されていた。


そもそも、初犯ではなかったということだった。

大学のクズサークルで、
他の大学の女子学生に、
お酒や薬を飲ませて集団レイプをしていたそうだ。

しかも、主犯格は今回の男の兄で、
そのサークルの副代表だということで、
1年生だった弟も中心的な役割をしていたようだった。


私を強姦した時に持ち込んでいた薬物やロープ、スタンガンなども、
その時に使用していたものらしく、
集団レイプ事件の立件にその薬物やスタンガンの情報が役立ったようだった。


父親は大手銀行で、比較的役職が高く、
他の学生達も所謂『良い家のお坊ちゃん』らしく、
最初はもみ消そうと言う動きがあったことから、
世間の注目を受け、バッシングされることになったそうだった。


私の事件については、
首をナイフで刺している点について、
検察側が殺人未遂の適用も考えていたようだった。

医師からも、
「少し位置がズレていたら、
止血も難しく生命にも関わったかもしれないのに、
その状況で強姦していた」と証言されていた。

「暗くて見えなかった」と男は言っていたが、
自分で撮影していた携帯画像にも、
首や腕を切り付けた後に、
無理矢理私を強姦している様子が音声も含めて残されていて、
灯りも撮影の為に付けさせていたことも判っていたので、
執行猶予なしのかなり重い判決が出た。


阿部さんと子供たちも、ずっと裁判を傍聴していて、
ゆりあさんが証言する時は未成年者ということで非公開になっていたが、
しっかりした口調で涙を堪えながら証言する様子に、
裁判官は勿論、
被告人の弁護士まで感心していた。


というより、
弁護士も途中で交代してしまい、
引き受けてくれるところがなかったのか、
国選弁護士になっていた。

多分、私の裁判より、
大事になってしまった集団レイプ事件の方が大変なことになるのだと思った。
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