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隠れ湯… 秘湯の女将
第2章 回想
最初に来たのは、楓が会社を辞め……
緑風荘に来てから、5年くらい経った頃でしょうか……

桜の開花にはまだ早い……3月の終わり頃…子どもを連れた家族連れがいたから春休みに当たる時期であった……


いらっしゃい……

顔を見合わせた瞬間、お互いにビックリして、無言であった………
部屋に案内し、お茶を出しながら……
話をした…

石山は、パッタリ楓の顔見なかったから、ず~っと、どうしたのかと思っていたんだ~
会社を辞めたらしいとは、聞いていたんだが……
行方は、皆目見当つかずで……やっと見つけたよ……楓…

そうね…辞めてから5年くらいになるかしら……
宿の女将で、頑張ってます……人の妻です……

そうなんだ……相変わらず、綺麗だね…知らぬ間に人妻なんて……
なんか、ドキドキしてきた……昔のように燃えそうだ……


純一、何言ってんの、人の妻ですから…
楓は、何気に昔の呼び方で石山を呼んでいた……
確かに、昔の思い出が頭の中を駆け巡っていた……

仕事には、満足していたが……女としての悦びは……干からびそうなのは事実であった……

旦那は、20も年が違い、60もすぐそこ……年々、男としての逞しさが失せていくばかりであったから………
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