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夢魔の半生
第5章 電車
 「篠本一美ちゃんの行方が判らなくなって一週間になります。」
 テレビのワイドショーがここ数日世間を騒がせている児童行方不明事件の続報を流している。
 女子アナが神妙な顔で記事を読んだ後タレントやら識者やらが事件、事故様々な想像を膨らませて口々に持論を述べているがどれも的外れだ。
 真相は実に簡単だ。
 壊れてしまった玩具に飽きた俺はとある業者に電話をした。ものの20分もしない内に作業服を着た男が二人大きな段ボール箱を持って来ると浴室に行き泣きつかれてぐったりしている一美に薬を嗅がせて意識を奪うと段ボール箱に梱包して出ていった。部屋に残ったのはしらけ面の俺と足元に置かれた300万円入りの封筒だけ。
 俺が言うのもなんだが世の中にはド変態のロリコンというのは掃いて捨てる程いて重症者になるほど何故か金持ちが多い。で、そいつらは普通のルートでは手に入らない後腐れのない幼女欲して大金をちらつかせている。
 あの日来た作業服の男達はそんなド変態に商品を卸している業者だ。クライアントからは数千万円で仕事を受けてるそうなので俺に300万円払っても痛くも痒くもないのだ。
 で、可哀想な一美ちゃんは今頃お金持ちの飼い主さんの待つ中東目指す船の中だ。
 ま、済んだことを考えても仕方がないが反省だけはしなければならない。
 俺はサディストの上にストライクゾーンが広いのだがどうも小学生が相手となると歯止めが利かなくなる。体臭とデカチンのせいで虐められいたのがトラウマになってるらしい。可愛らしいと思うと同時にどうにも汚したい貶めたい壊したいという衝動が抑えられなくなる。これが中学生になると極普通のSになるんだから人間というのは不思議になものだ。
 年に一人、二人やりすぎて業者に来てもらっているがこのアパートに住んで3年。行方不明の女児の数がこれで4人となると警察の動きも気になる。
 そろそろ引っ越すかな。
 うん。そうしよう。
 なにしろ独身、独り暮らしのニートだ。腰の軽さは日本一。思い立ったが吉日だ。
 半袖の紺色のポロシャツにやはりベージュのチノパンを纒、財布とスマホといういつもの軽装を整えてテーブルの上の賽子を転がす。出目は「5」。取り敢えず行き先の方向は決まった。
 駅に着くと初乗り料金だけ払って切符を購入して「5番線」に向かう。
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