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遠き隣人
第3章 若妻、江梨
しかし、彼女もまだ24才。クラスの女子とは7つくらいしか変わらない。江梨自身も、女子の会話や話題についていけるくらい年齢より若いくらいである。

なので
初日の授業は教科書を開くわけでもなく、自己紹介や彼女たちの興味のあるものなどを会話から引き出そうとホームルームになった。


初日なので、江梨にとっては顔と名前を覚えるだけでも大変な事である。
授業などは初心者ではない。江梨は10代の頃から臨時講師として教壇に立っていたくらいだ。慣れたものである。

『それでは、あとで委員長は職員室にきて』
委員長と呼ばれた詩織は、編み込みポニーテールをユラユラ揺らしながら、立ち上がり軽く会釈した。

《ここは、本当に女子校なのかしら?皆、毅然として、背筋なんかシャンと伸ばし、別段ダラけてない。きちんと会釈できるし、気のせいかしら?妙な落ち着きはなんだろう?やりやすいと言っちゃあ、やりやすいけど》

普通女子校と言えば、教師の話しなど聞かず、化粧してみたり、音楽聴いてたり、脚拡げてスカートで仰いでみたり、セックスの話しをしてたり、こんな感じなのが、ごく一般の女子校のイメージで、江梨もそんなクラスをイメージしていた。

職員室を出た江梨は、今年の春に赴任して来た先輩教師、恭子と次の授業に使う資料を取りに廊下を歩いていた。
『あんなやりやすいクラスなのに、前の担任は何故逃げ出したのかしらね?何か知ってますか?』

『私は知らないわねぇ。この学校に来て半年くらいだし、ようやく学校の細かな所が分かって来たところなんです。自分の事で精一杯。教頭先生なら何か知ってるかも知れないですよ』

『教頭先生ねぇ・・。よし昼休みに聞いてみるか』
職員室に入ると委員長の詩織が授業で使う資料を取りに来ていた。

『あら?待たせちゃったかしら。ゴメンね』
『いいんです。それより先生資料ってそれですか?』
『ん?ああ、えぇ。そうよ』
『持ちます』
『一緒に教室に行きましょうか』江梨は詩織にそう言うと職員室を出た。
少し緊張した赴きで資料をお腹の辺りに持ちながら、歩く詩織に江梨は・・・・。
《会話、会話、何か話さないとなぁ》
『そういえば・・!』


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