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彼女に抱かれたい
第8章 一矢纏わぬ
ま、マイが…泣いている…。
「せっかく今日と明日が休みになったから、サトシに会いに行こうって思って、それも言おうと思ってたのに。
総体の県予選も応援したいから休みを取ったのに…。
そしたら大きな声出して怒るじゃん。
何も言ってくれなきゃ意味わかんない。私、ホントに悲しかったんだけど。」

俺は最低だ。
彼女の気持ちも考えず…。
『ご、ごめん…。』
「せめて何があったのか教えてよ。」

『最近…スランプ気味っていうのかな…調子が良くなかったんだ。
復帰レース後すぐはおもしろいくらいに記録が伸びて、どんどん楽しくなって顧問からも期待をかけてもらってた。
高校総体県予選が迫ってるのに…急に伸びなくなって自己ベストからは程遠い状態になっちゃって…。
自分でも必死に泳いでるつもりなのに、俺だけ取り残されてる気がして…。
マイにも会いたいけど会えない日が続いて…。
なんか声が聞きたくて電話したら、大会の話が出たから…今は水泳の事を考えたくない、カッコ悪い所を見られたくないって思って…。
それで、あんな事言っちゃった。ごめんなさい。』

「私だってずっと会いたかったんだよ?
でも、お互いなかなか都合が合わなかったじゃん?
不安があるなら…嫌な事があったら、一番最初に私に話してよ。」

『ごめん。』
「…言っとくけど、許さないから。」
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