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ノーサイドなんて知らない
第10章 幸せな時間
熊野さんが研修医2年目の3月に、
無事に第二子を同じく帝王切開で出産した。

またもや男の子で、
3歳になった健(たける)さんは、弟が出来たことがとても嬉しかったようだった。


勿論、熊野さんのご家族も私の家族も、
とても喜んでくれていた。


健(たける)さんは、
名前とは違って、
少し繊細で大人しい男の子に育っていて、
私や熊野さんのお母様と一緒に過ごして本を読むのが好きな感じで、
どちらかと言えば私に似ているようだった。


そして、次男の渉(わたる)さんは、
産まれた時から活発で、歩き始めるのも早くて、
健(たける)さんの後を追い掛けては自分で転んで泣いて、
またご機嫌になって笑っているような男の子で、
なんとなく熊野さんに似ていた。


健(たける)さんが3歳の夏に、
渉(わたる)さんを熊野さんのご両親に預けて、
初めてイギリスとフランスに連れて行った。


片言の英語やフランス語で挨拶した後は、
恥ずかしそうな顔をして、
私のスカートの影に隠れるようにしながらも、
掛けられる言葉を繰り返してみたりしていた。


その3年後に、
今度は健(たける)さんと渉(わたる)さんも連れて、
熊野さんのご両親も一緒にイギリスとフランスの家に行った時は、
健(たける)さんはお兄ちゃまらしく、
渉(わたる)さんにあれこれ教えてあげたりしていた。

それなのに、渉(わたる)さんはちっとも話を聞かずに、
庭に向かって走り出しては転んでしまって、
みんなで慌てたりしていた。


健(たける)さんは、渉(わたる)さんを抱き起こしてあげて、
軽く土を払ってあげて、
頭をそっと撫でて何かを言っていた。


なんて言っていたのかは判らないけど、
渉(わたる)さんが恥ずかしそうに顎を掻きながら部屋に戻ってきて、
私に抱きついて笑っているのを、
健(たける)さんも優しい顔で見ているようだった。


表情はあまり判らなくても、
そういう空気感は充分に感じられた。
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