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ノーサイドなんて知らない
第2章 ラグビーなんて観たことない
3日ぶりに自宅に帰れた。

部屋に入ってリビングに荷物を置いて、
ベランダに出れる掃き出し窓と出窓を開けて、
空気の入れ替えをしていく。

スーツケースから洗濯物を出して、
熊野さんの処で脱いだ服と、
多分、熊野さんが手洗いしてくれたジャケットとブラウスも確認してみる。

丁寧に洗ってくれたみたいで、
殆ど汚れは残ってなかったけど、
これはクリーニングに出すことにする。

家でお洗濯出来る物を抱えて、
洗面所に入って、
洗濯機の中にネットに入れたものや、
そのままで大丈夫なものを放り込んでいく。

借りたTシャツとハーフパンツも、
念の為に裏返してからネットに入れる。

ザッとシャワーを浴びて、
使ったタオルも洗濯機に入れると、
スイッチを入れた。


規則的に回り出したのを確認してから、
キッチンに行ってお湯を沸かして焙じ茶を淹れた。


ソファに座り込んで、
暫くぼんやりしながら考える。


初対面の男の人、
しかも、凄く歳下の人に、
吐いた汚物の処理とかさせて、
お洗濯までさせて、
しかもお泊まりまでさせてしまうなんて、
最低、最悪の出会い方。

朝食まで、
使いっ走りのように買いに行かせてしまった。


クマさんのようなイメージと、
声しか覚えてない。


そう。
私は、他人の顔がどうしても覚えられない。
家族とか、
物凄く親しくなって何度も何度も会うと、
認識は出来るようになるけど、
誰の顔も、
ぼんやりしたイメージしか覚えられない。


そのことで、子供の頃から、
虐められてはいないけど、
無視されてきた。


勉強は学校で一番出来るけど、
クラスメイトの顔を誰一人、
覚えられなくて、
誰とも話も出来なかった。


大きくなるにつれて、
イメージと声で分類してそれを記憶することで、
だいぶマシにはなったけど、
変わったヒトと思われて、
いつも1人で過ごしていた。


だから、大学院を出た後も、
就職はせずに、
自宅で出来る翻訳と、
その場だけ、決まった仕事をすれば良い同時通訳の仕事だけやって来ていた。


背は小さいけど、顔はそこそこなのか、
告白されることも多かったけど、
何しろ、その相手の顔を認識出来ないから、
誰とも付き合う事もできないまま、
30歳になっていた。



だから、熊野さんも、
私の中では、クマさんとしか覚えられなかった。
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