この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ノーサイドなんて知らない
第3章 知らないのは私だけ?
少し奥まった処に、
選手の方たちがまとまって座れる待合室があった。

一番奥の席に私を座らせると、
コーヒーを持たせてくれて、
コートを膝に掛けてくれる。


「クマ、この前の新幹線のコじゃないの?」と、
さっきのヒトとは違う声で言われる。


「なに?
クマの彼女?
さっき、いきなりバスの中で、
名前叫んでたよね?」と、
また、違う声で言われる。


「今、一生懸命口説いている処なんで、
近寄らないでくださいよ」と、
熊野さんが笑う。


「この前も、新幹線で本、読んでたよね?
読書家なんだ」と、
さっき、声を掛けてくれた、
熊さんの行列の中では少し小柄で痩せてみえるヒトが、
私の本を手に取るから、
私は少し慌ててしまった。


「えっ?
『簡単図解 誰でもわかるラグビー入門』って?」と、
私を見て笑いだす。


「あの…えっと…。
ラグビー、観たことなくて…」


「僕のこととか、クマのことも、
知らないんだ?」


「さっき、お2人、
インタビューされてましたよね?
早川駿介さんってご紹介されてました」と言うと、
楽しそうに大笑いする、


「クマ、この女の子、
大当たりだよ?
僕たちのこと、
全然知らないけど、
知らないからこそ、
そのまま、ありのままに観てくれるじゃん」


「そうなんです。
だから、絶対、手放したくなくて」と言って、
私の頭をポンポンするから、
益々、私は紅くなってしまう。


「うちのクマ、宜しくね?
あ、名前は?」


「メアリーです」
と、熊野さんが私の代わりに答えてくれた。


「なに、それ?
本名?
可愛いな」と言って、離れていった。



「ごめん。
さっきさ、バスで『めありー』って叫んじゃったし、
彼女って言っちゃった。
迷惑?」

私は紅くなりながらも、
「薫さん、
本当に私なんかで良いんですか?」と訊いた。


「えっ?
今、名前、呼んでくれた?
もう一回、呼んで?」


「薫さん…」


「なんか、背骨が溶けそう。
ヤバい」と言って、
隣に座って手を握り締める。


「あっ、飛行機は?
JAL?ANA?
フライト何時のヤツ?」と訊かれて、
バッグからチケットを取り出した。


「俺の方が後の便か。
羽田で待っててくれる?
一緒に帰ろう?」と言うので、
私は頷いてぎこちなく笑った。
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ