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ノーサイドなんて知らない
第5章 蜂蜜みたいに甘い夜
駐車場について私の方を見た熊野さんが慌てて私を抱き締めてくれる。
「茉莉(めあり)、大丈夫?
震えてる」
髪と背中をゆっくり撫でてくれて、
少しずつ落ち着いてくる。
「ホントは俺が話さないといけないのに、
茉莉(めあり)が余りにもカッコ良くて。
惚れ直しちゃったよ」と笑ってくれる。
車から降りる時も、
手を貸してくれて、
荷物も全部持ってくれるので、
私は薔薇の花束だけを抱えて、
香りを吸い込むと、
幸せな気持ちで落ち着いた。
部屋に入って、
2人で並んでうがいと手洗いをしてから、
家で一番大きなバカラの花瓶を出して、
水切りしながら薔薇を挿していった。
ホッとした気持ちになって、
もう一度、香りを嗅いでいると、
熊野さんが急に、
「あのさ、茉莉(めあり)のご両親と話、出来ないかな?」と言う。
「そうですね…。
日曜日のこの時間なら、
家に居るかも。
電話してみますね?」
母に電話をしてみると、
すぐに出てくれて、
おっとりした優しい口調で話し始めるので、
落ち着いた気持ちになる。
「紹介したい人が居る」と言うと、
パソコンを繋いでZoomで話をすることになった。
初めて熊野さんを自分の仕事部屋に入って貰って、
パソコンの前に座った。
「ゲーマーみたいな椅子だね?」と笑われる。
キッチンからダイニングチェアを熊野さんに運んで貰って、
2人で並んで座った。
薔薇のお花も運んでると、
Zoomが繋がる。
画面越しで、顔は覚えてないけど、
いつもの優しい声が聴こえてきて、安心する。
「どうした?
珍しいな。
紹介したい人が居るって?」と言われて、
熊野さんと目を合わせて、思わず紅くなってしまう。
「初めまして。
熊野薫と申します。
茉莉(めあり)さんとお会いして、
まだ1週間ほどなんですけど、
一目惚れしまして、
結婚を前提にお付き合いさせていただきたく、
ご両親様にご挨拶したいと…」
「熊野教授の次男さんだって?
さっき、教授ご本人から電話があってね、
頼りない息子だけど、
宜しくと言われたよ?」と笑った。
「えっ?」
「娘の疾患も判った上で、
出会ったばかりなのにプロポーズしてくれたって?
歳も上だけど、良いのかな?」と、
父の眼鏡の奥で、キラリと目が光った。
それは、
判断を迫る時特有の、
厳しい父の目だった。
「茉莉(めあり)、大丈夫?
震えてる」
髪と背中をゆっくり撫でてくれて、
少しずつ落ち着いてくる。
「ホントは俺が話さないといけないのに、
茉莉(めあり)が余りにもカッコ良くて。
惚れ直しちゃったよ」と笑ってくれる。
車から降りる時も、
手を貸してくれて、
荷物も全部持ってくれるので、
私は薔薇の花束だけを抱えて、
香りを吸い込むと、
幸せな気持ちで落ち着いた。
部屋に入って、
2人で並んでうがいと手洗いをしてから、
家で一番大きなバカラの花瓶を出して、
水切りしながら薔薇を挿していった。
ホッとした気持ちになって、
もう一度、香りを嗅いでいると、
熊野さんが急に、
「あのさ、茉莉(めあり)のご両親と話、出来ないかな?」と言う。
「そうですね…。
日曜日のこの時間なら、
家に居るかも。
電話してみますね?」
母に電話をしてみると、
すぐに出てくれて、
おっとりした優しい口調で話し始めるので、
落ち着いた気持ちになる。
「紹介したい人が居る」と言うと、
パソコンを繋いでZoomで話をすることになった。
初めて熊野さんを自分の仕事部屋に入って貰って、
パソコンの前に座った。
「ゲーマーみたいな椅子だね?」と笑われる。
キッチンからダイニングチェアを熊野さんに運んで貰って、
2人で並んで座った。
薔薇のお花も運んでると、
Zoomが繋がる。
画面越しで、顔は覚えてないけど、
いつもの優しい声が聴こえてきて、安心する。
「どうした?
珍しいな。
紹介したい人が居るって?」と言われて、
熊野さんと目を合わせて、思わず紅くなってしまう。
「初めまして。
熊野薫と申します。
茉莉(めあり)さんとお会いして、
まだ1週間ほどなんですけど、
一目惚れしまして、
結婚を前提にお付き合いさせていただきたく、
ご両親様にご挨拶したいと…」
「熊野教授の次男さんだって?
さっき、教授ご本人から電話があってね、
頼りない息子だけど、
宜しくと言われたよ?」と笑った。
「えっ?」
「娘の疾患も判った上で、
出会ったばかりなのにプロポーズしてくれたって?
歳も上だけど、良いのかな?」と、
父の眼鏡の奥で、キラリと目が光った。
それは、
判断を迫る時特有の、
厳しい父の目だった。