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ノーサイドなんて知らない
第5章 蜂蜜みたいに甘い夜
「相貌失認のことですね?
それについては、気にしていません。
個性の一つだと思えるし、
そのことについて茉莉(めあり)…さんが、気になるようなら、
いくらでもフォローしたりサポートします。
俺の顔、覚えられなくても、
毎朝、初めましての気持ちで、
おはようのハグとキスをします。
って、何、言ってるんだ、俺?
それより、今はラグビーの選手をしているけど、
今季で引退して、大学に戻ろうとしています。
1年半、学生になるので、
学生で頼りないと思われるかもしれませんが、
契約金や給料も使わずにいたので、
茉莉(めあり)に、茉莉(めあり)さんに経済的な負担はかけないように出来ると思います。
その後は、研修医で、
給料も少ないとは思いますが、
競技人生が短いラグビー選手より、
きちんと長く、安定した生活を茉莉(めあり)さんと出来ると思います。
どうぞ、茉莉(めあり)…さんとの結婚を前提にしたお付き合いをお認めください。
お願いします」


頭を下げる熊野さんの横で、
私も頭を下げながら、
指を絡めるように繋いだ。


「認めるも何も…。
結婚は2人で決めることだから。
でも、ウェディングドレス姿は見せて欲しいな」
と父は言う。


「私も早く、babyを抱きたいから、
なんなら今日にでも結婚すれば良いと思うわ?
優しい人と会えて良かったわね?」と、
母も言ってくれる。


「今日は、この薔薇と指輪をいただきました」と言って、
真紅の薔薇と、2人の指輪を見せると、

「今度はダイヤモンドの指輪、
買ってもらいなさいね?」と母はウィンクした。


「はい!
大きいヤツ、プレゼントします!」と熊野さんが言うので、

「この指輪もダイヤモンドついてるから、
充分です」と言うと、

「昔から、メアリーは何も欲しがらないからな」と、
父は笑った。


「デキ婚でも良いぞ。
いつでもイギリスに遊びにおいで?
グランパとグランマも、喜ぶよ?」と言われながら、
通話を終えた。
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