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ノーサイドなんて知らない
第6章 引退、結婚とパパラッチさん問題
「これ、普段は芸能人とかのスキャンダルを写真で面白おかしく適当に載せる雑誌だよ?」と、熊野さんが説明してくれる。
なんだか、良く判らない不鮮明なヒトのシルエットやら、
サングラス掛けて早足そうに顔を背けるヒトとかが冒頭から並んでいる。
「えっと、記事、どれですか?」と言うと、
「ああ、そうか」と言って、
ちょうど真ん中の見開きになる辺りを開いてくれる。
そこにはとても真剣にボールを見つめる、
多分熊野さんが大きく載っていて、
他にもゴールを決めた後に早川さんらしきヒトと抱き合って飛び上がる連続写真が載っていた。
タイトルには、
「日本の宝、引退〜スポーツドクターへの転身」とあった。
今シーズン全体のチームと主に熊野さんの活躍、
後半に若干、膝の違和感を抱えながらのプレイだったのではないかという考察、
勿体ないという声もあるけど、
新たな歩みを応援したいと締めくくってあった。
そして、それを支えるパートナーMさんの存在が頼もしくもあり、
今後が楽しみだという文字と共に、
紅い薔薇を抱えていた私の指先と、
私を庇うようにする熊野さんの写真が載っていた。
その写真だけは白黒で、
薔薇の紅だけが浮き立つように色付けされていた。
「これ…、とても気遣ってくれてますよね?
怪我のことって、公表してましたか?」
「いや、チームのトレーナーさんとドクター、それと監督には言ったけど、
早川さんにすら、話してなかったよ?
引退について、嫌なことしか言われてなかったのに、
この記事は驚いたよ。
凄く好意的。
おまけに、客観的な視点で、
チームのことや俺のこと、書いてくれてる。
茉莉(めあり)のことも、
良い感じに書いてくれてるよね?」
私はそっと頷いた。
「これで少し、落ち着くと良いけどな?」
「私、なんと言われてても、
気になりませんよ?
テレビも週刊誌も観ないし、
他人が何を言っても関係ないかなって…。
薫さんと家族が、きちんと判ってくれてるだけで、
充分です。
薫さんが悪く書かれたりするのは、
ムカついちゃいますけど」
「本当に茉莉(めあり)は、
強いな?」と言って、
私をギュッと強く抱き締めてくれた。
なんだか、良く判らない不鮮明なヒトのシルエットやら、
サングラス掛けて早足そうに顔を背けるヒトとかが冒頭から並んでいる。
「えっと、記事、どれですか?」と言うと、
「ああ、そうか」と言って、
ちょうど真ん中の見開きになる辺りを開いてくれる。
そこにはとても真剣にボールを見つめる、
多分熊野さんが大きく載っていて、
他にもゴールを決めた後に早川さんらしきヒトと抱き合って飛び上がる連続写真が載っていた。
タイトルには、
「日本の宝、引退〜スポーツドクターへの転身」とあった。
今シーズン全体のチームと主に熊野さんの活躍、
後半に若干、膝の違和感を抱えながらのプレイだったのではないかという考察、
勿体ないという声もあるけど、
新たな歩みを応援したいと締めくくってあった。
そして、それを支えるパートナーMさんの存在が頼もしくもあり、
今後が楽しみだという文字と共に、
紅い薔薇を抱えていた私の指先と、
私を庇うようにする熊野さんの写真が載っていた。
その写真だけは白黒で、
薔薇の紅だけが浮き立つように色付けされていた。
「これ…、とても気遣ってくれてますよね?
怪我のことって、公表してましたか?」
「いや、チームのトレーナーさんとドクター、それと監督には言ったけど、
早川さんにすら、話してなかったよ?
引退について、嫌なことしか言われてなかったのに、
この記事は驚いたよ。
凄く好意的。
おまけに、客観的な視点で、
チームのことや俺のこと、書いてくれてる。
茉莉(めあり)のことも、
良い感じに書いてくれてるよね?」
私はそっと頷いた。
「これで少し、落ち着くと良いけどな?」
「私、なんと言われてても、
気になりませんよ?
テレビも週刊誌も観ないし、
他人が何を言っても関係ないかなって…。
薫さんと家族が、きちんと判ってくれてるだけで、
充分です。
薫さんが悪く書かれたりするのは、
ムカついちゃいますけど」
「本当に茉莉(めあり)は、
強いな?」と言って、
私をギュッと強く抱き締めてくれた。