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ノーサイドなんて知らない
第8章 言葉に出来ない不安
病院の駐車場に到着すると、
看護師さんが車椅子を用意してくれていた。

熊野さんが抱き寄せるようにして抱えて、
そっと座らせてくれる。

看護師さんにブランケットを膝に掛けられて、
そのまま、診察室に連れて行かれた。


「ご主人様は外で…」と言われたけど、
先生が、
「中に入って良いですよ。
医者の卵だから」と言ってくれる。


診察されているうちに、
貧血を起こしたように意識が遠のいてしまって、
気づいたら病室のベッドで横になっていた。

熊野さんが手を握り締めて、
私の顔を覗き込んでいた。


「えっ?
ここ…。
薫さん、赤ちゃんは?」


熊野さんは涙ぐみながら、
「大丈夫だったよ。
良かった。
茉莉(めあり)も赤ちゃんも大丈夫だって。
でも、少し安静にしておくようにって言われたからね?」と言いながら、
私の髪を撫でて、
額にキスをしてくれる。


「ごめんなさい…」と、
泣きながら言う。


「謝らなくて良いよ。
初めての出産で、
判らないことだらけだし。
もっと気をつけてあげれば良かったのに、
ごめんな。
俺、嬉しくて、すっかり舞い上がっちゃってさ。
親の処とか、
ばあちゃんの処とか、
引っ張り回し過ぎたよね?
本当はもっと安定期にはいってからにするべきだったのに」と言う。


お腹がまた、痛くなる感覚がする。
顔が歪んでしまう。


「大丈夫?
ナースコール押す?」


「違うの。
きっと、私のせいなの…」と言葉にすると、
辛くて涙が溢れてしまう。


「えっ?」


「怖くて…。
眠れなくて…」


「何が?
なんか、怖いこと、あるの?」


上手く説明出来るかも判らなくて、
私はただ、泣くことしか出来なかった。
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