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ノーサイドなんて知らない
第8章 言葉に出来ない不安
「この前、ここに来た時ね。
病院の中、見学させていただいたでしょう?
その時にね、新生児室に寝ている赤ちゃん見て、
怖くなったの…」


「えっ?」


「みんなおんなじ顔で…。
私…。
自分の赤ちゃんがどの子かも、
判らないのよ?
それで、お母さんなんて、
出来るのかな?
そう思ったら、怖くて。
少しずつ大きくなってもね、
ずっと判らないままなの。
運動会の時とかも、
どれが自分の子供が、
判らないのよ?」


「んー。
運動会とかさ、余程身体が大きいとか、小さいとか、
髪の色が違うとかじゃなければ、
同じ体操着なんだから、
誰が見てもわかんないよ?」


「そうじゃなくて、
顔が判らないのよ?」


話しているうちに、
どんどん興奮してしまっていて、
涙が止まらなくなる。

胸が苦しくなって、
お腹も痛くなる。



「茉莉(めあり)、落ち着いて?
そんなの、全然大丈夫だよ。
声とか仕草で、判るでしょ?
俺もいつも一緒に居るから…」


「でも…」


「じゃあさ、他のコと明らかに違うように、
いつも印をつければ良いよ。
女の子ならさ、
変わった色や柄のリボンつけるとか、
男の子だったら、
モヒカンにするとか?
いくらでも工夫して出来るよ?」


ゆっくり、優しい声で言い聞かせるように話してくれるので、
少しずつ、落ち着いてくる。


「俺、子供が出来たのが嬉しくて、
肝心なこと、茉莉(めあり)と話が出来てなくて、
不安だったんだね?
ごめん。
例えばさ、茉莉(めあり)が全盲だとしてもさ、
手で触って顔の形を指で覚えたりするかもしれない。
俺は茉莉(めあり)の目になって、
サポートすると思うよ。
逆の立場でも、きっと茉莉(めあり)は、
俺の為にそうしてくれるよね?
相貌失認もさ、
もしかしたら、それに近い状態かもしれないけど、
仕草とか、外見の特徴とか、動きとか声で、
ちゃんと認識出来るから、
全盲の人より、余程条件良いでしょう?
それに、何より、
俺たちの子供なんだから、
可愛くて仕方ないだろう?
だから、顔を覚えられないことなんて、
たいしたこと、ないよ?
俺はいつも、そばに居るし、
仕事で一緒に居れない時、
心配だってことなら、
俺たちの母親とか、サポートして貰えるようにしよう?
甘えることも、親孝行だと思うよ?」
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