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私じゃなくても
第4章 秘密のはじまり
早瀬さんへの返信は

『ありがとうございます』

の一言だけ。


あれから私は
早瀬さんを避けるようにして
過ごしている。

今以上に
親しくなってはいけない
そう思ったから。

千華の世話が大変な時は
『友達として』
という言葉に
甘えそうになったけど
タカくんは
それを理解しないだろう。

浮気だなんて
疑われたくないし。


あれ以来
早瀬さんからのメッセージは無い。

無くて当たり前。

ただの……お隣さんなんだから。


私は今日も
千華と2人きり。

千華は
少し首が強くなってきたようで
嬉しい。

子供の成長は早いなー…と
つくづく思う。

でも、その成長と共に
千華の睡眠時間は短くなり
機嫌の悪い時間も多くなった。
なぜ泣いてるのか
理由が分からないこともあって
私の方が泣きたい
そう思うこともしばしばだ。

あ、タカくんから
メッセージ。

どうやら今日も
帰りは遅いらしい。

はぁ……
今日は早く帰るという言葉を信じて
せっかく晩御飯作ったのに。
今日こそは
お風呂にゆっくり入れると思ったのに。

タカくんの仕事は忙しく
まるで
母子家庭みたい。

タカくんが
悪いわけじゃないんだけど……。

ちょっと
外の空気でも
吸おうかな。

千華が眠っているのを確かめ
私は気分転換に
ベランダへと移動した。

外はもう薄暗く
星が見え始めていた。

と、その時
一台の車が駐車場に入ってきた。

よく見ると
それは早瀬さんの車。

私は思わずしゃがみ込んで
早瀬さんからは
姿を見られない場所で
その車を見つめた。
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