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私じゃなくても
第4章 秘密のはじまり
千華の話や
さっき持って行った料理の話
夜空に浮かぶ月の話…
メッセージを送ると
私は目を閉じて
ボードの向こうに耳をすませながら
早瀬さんの気配感じ
そして
携帯が震えると目を開けて
メッセージに目を通した。
それを何度か繰り返しているうちに
私の心が軽くなっているのに
気づいた。
タカくんが帰ってこなくて
酷いなって思ってたのに。
一人で寂しくて
辛いなって思ってたのに。
もう身体がキツくて
泣きそうだったのに。
こんなに軽い気持ちになれたの
いつぶりだろう
思い起こせば
千華を身籠もってから
ずっと大変だったな…
結婚して
すぐ千華の妊娠がわかり
タカくんが転勤。
私は出産前まで
仕事を辞められず
ギリギリまで仕事をしていた。
それから千華を実家で産んで
産後一か月でこの社宅へ。
それからは
もう…
目が回るような日々だったな…
でも
タカくんを責めるつもりはない。
仕事の大変さはわかってるから…
そう
わかってるの
タカくんは
悪くない
悪くなんてないの…
だから
もっと手伝ってなんて
口が裂けても…
『ほんまに奥村さん遅いなぁ』
だって今日は
帰って来ないんだもの。
帰らない理由?
そんなの知らない。
知らないけど
多分
飲み過ぎたとか
楽しいとか…
そういう自分の時間を楽しく過ごすためで、仕事なんかじゃないはず。
私には
自分の時間なんてないのに
お酒だって
飲むことができないのに
友達と会うことも
できないのに
大好きだった仕事だって
我慢してるのに……
やだ
心が軽くなってたのに……
泣いちゃいそう
『和香さん?
どないした?
もう…眠い?』
早瀬さん…
私…
私ね…
ちょっと
悲しくなってきちゃった…
うっ……っ…
どうしよう…涙、止まらない
『和香さん?
起きてる?
ごめんな、付き合わせて』
付き合ったわけじゃないよ
むしろ
嬉しくて
まだ部屋に入りたくなくて
迷惑かもしれないのに
メッセージのやりとりをやめられなくて
『和香さん?
和香さん、もしかして
泣いてる?』
頼ってはいけない
早瀬さんに
弱音を
吐いてしまいたくて……
コンコン…
涙が溢れて
声を殺すことに必死で
返信できないでいると
早瀬さんは
私の啜り泣きに気がつき
2人を遮るボードをノックした
さっき持って行った料理の話
夜空に浮かぶ月の話…
メッセージを送ると
私は目を閉じて
ボードの向こうに耳をすませながら
早瀬さんの気配感じ
そして
携帯が震えると目を開けて
メッセージに目を通した。
それを何度か繰り返しているうちに
私の心が軽くなっているのに
気づいた。
タカくんが帰ってこなくて
酷いなって思ってたのに。
一人で寂しくて
辛いなって思ってたのに。
もう身体がキツくて
泣きそうだったのに。
こんなに軽い気持ちになれたの
いつぶりだろう
思い起こせば
千華を身籠もってから
ずっと大変だったな…
結婚して
すぐ千華の妊娠がわかり
タカくんが転勤。
私は出産前まで
仕事を辞められず
ギリギリまで仕事をしていた。
それから千華を実家で産んで
産後一か月でこの社宅へ。
それからは
もう…
目が回るような日々だったな…
でも
タカくんを責めるつもりはない。
仕事の大変さはわかってるから…
そう
わかってるの
タカくんは
悪くない
悪くなんてないの…
だから
もっと手伝ってなんて
口が裂けても…
『ほんまに奥村さん遅いなぁ』
だって今日は
帰って来ないんだもの。
帰らない理由?
そんなの知らない。
知らないけど
多分
飲み過ぎたとか
楽しいとか…
そういう自分の時間を楽しく過ごすためで、仕事なんかじゃないはず。
私には
自分の時間なんてないのに
お酒だって
飲むことができないのに
友達と会うことも
できないのに
大好きだった仕事だって
我慢してるのに……
やだ
心が軽くなってたのに……
泣いちゃいそう
『和香さん?
どないした?
もう…眠い?』
早瀬さん…
私…
私ね…
ちょっと
悲しくなってきちゃった…
うっ……っ…
どうしよう…涙、止まらない
『和香さん?
起きてる?
ごめんな、付き合わせて』
付き合ったわけじゃないよ
むしろ
嬉しくて
まだ部屋に入りたくなくて
迷惑かもしれないのに
メッセージのやりとりをやめられなくて
『和香さん?
和香さん、もしかして
泣いてる?』
頼ってはいけない
早瀬さんに
弱音を
吐いてしまいたくて……
コンコン…
涙が溢れて
声を殺すことに必死で
返信できないでいると
早瀬さんは
私の啜り泣きに気がつき
2人を遮るボードをノックした