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私じゃなくても
第4章 秘密のはじまり
side ワンちゃん
どうしよう
教えてもいいのかな…
名前くらいなら
大丈夫かな
早瀬さん
困ってるみたいだし
少し迷いはあったけど
私は名前を伝えることにした。
『和香です』
『えぇ名前やなぁ!』
早瀬さんの返信は早い。
『和香さん!』
文字なのに
名前を呼ばれると
ちょっと照れ臭いな…。
でも
「奥村」ではなく「和香」って
呼んでもらうことが久しぶりで
なんだか
嬉しかった。
あ、そうだ
早瀬さんは
なんて名前なんだろう。
『早瀬さんのお名前
聞いてもいいですか?』
『ええよええよ!
俺の名前は
礁って書いてショウ。
よろしくな!』
礁?
すごく珍しい
『珍しい名前ですね』
『そうなんや。
珍しいらしくて
同じ名前の人に会うたとがない。
ほなこれからは
和香さんって呼ばせてもらって
ええかな?』
あ、うん。
他の誰もいない時だけだけど
『はい』
『俺のことは
早瀬でも礁でも
どっちでもええから』
礁だなんて
呼べるわけないじゃない。
『では、早瀬さんで』
『了解』
それからしばらく
私と早瀬さんの
メッセージのやりとりは続いた。