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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第11章 秘書①
「おいおい…。梶谷君…。大切な方と会う日を間違えるなんてどういうことだい?」
日が落ち、暗くなってきた社長室で狩野はため息とともに目の前に立つ梶谷琴美を睨む。狩野孝宏はベンチャー企業として駆け出しの会社の社長をしている。会社の更なる発展ために政治家とのコネクションを重要視していた。
しかし、秘書の琴美は昨日会うはずだった政治家との約束を今日だと狩野に告げていた。しかし、実際は昨日の予定だったようで、昨晩、狩野がその政治家から直接連絡を受けて、何故来ないんだと責められたようだ。
「申し訳ありません。確かに本日とお伺いして、メールも確認していたのですが…。」
「会社のメールを確認したら、昨日と書いてあるんだか?」
そうなのだ。確かに琴美が確認し、狩野にスケジュールを聞いた時は今日のはずだったのだが、改めてメールを確認すると昨日になっていた。琴美は完全に自分のミスだと恐縮し、謝罪を繰り返すが、狩野の怒りは収まらない。
狩野はメガネをかけ、鋭い眼光で琴美を睨む。細身の体ながら、エネルギッシュな雰囲気を醸し出す狩野に琴美は内心泣きそうになりながら、謝罪をする。
「君は大手企業に勤めてたから、優秀だろうと思って雇ったが、やはりリストラされたのにはそれなりの理由があったと考えるべきか…。君はまだ契約社員だったな~。こんなミスをして、契約解除も考えなければ…。」
「まっ、待ってください。社長!申し訳ありませんでした。二度とこのようなことがないようにしますので、契約解除だけは…。お願いします…。」
琴美は必死にお願いする。
大卒から大手企業に入社し、順調だったはずの琴美の人生はリストラにより一変した。もともと事務職で働いていた琴美はリストラされてから必死に次の会社を探したが、折しもの不景気でまったく働き口がなかった。大手企業で安泰と特別な資格も取っていなかった琴美は30歳間近という年齢もあって、応募したところはことごとく不採用になる。
秋田の実家を離れ、早7年が経つ。東京暮らしになれ、田舎の両親とも不仲で実家に帰ることもできない。
バイトすらなかなかない中で必死に貯金を食いつぶしながら就活を続け、たまたま応募したこの会社で直接、社長面接で拾ってもらったのだ。会社は数名しかいない小さな会社だが、給与も悪くない。琴美はやっと見つけたこの仕事を手放したくはなかった。
日が落ち、暗くなってきた社長室で狩野はため息とともに目の前に立つ梶谷琴美を睨む。狩野孝宏はベンチャー企業として駆け出しの会社の社長をしている。会社の更なる発展ために政治家とのコネクションを重要視していた。
しかし、秘書の琴美は昨日会うはずだった政治家との約束を今日だと狩野に告げていた。しかし、実際は昨日の予定だったようで、昨晩、狩野がその政治家から直接連絡を受けて、何故来ないんだと責められたようだ。
「申し訳ありません。確かに本日とお伺いして、メールも確認していたのですが…。」
「会社のメールを確認したら、昨日と書いてあるんだか?」
そうなのだ。確かに琴美が確認し、狩野にスケジュールを聞いた時は今日のはずだったのだが、改めてメールを確認すると昨日になっていた。琴美は完全に自分のミスだと恐縮し、謝罪を繰り返すが、狩野の怒りは収まらない。
狩野はメガネをかけ、鋭い眼光で琴美を睨む。細身の体ながら、エネルギッシュな雰囲気を醸し出す狩野に琴美は内心泣きそうになりながら、謝罪をする。
「君は大手企業に勤めてたから、優秀だろうと思って雇ったが、やはりリストラされたのにはそれなりの理由があったと考えるべきか…。君はまだ契約社員だったな~。こんなミスをして、契約解除も考えなければ…。」
「まっ、待ってください。社長!申し訳ありませんでした。二度とこのようなことがないようにしますので、契約解除だけは…。お願いします…。」
琴美は必死にお願いする。
大卒から大手企業に入社し、順調だったはずの琴美の人生はリストラにより一変した。もともと事務職で働いていた琴美はリストラされてから必死に次の会社を探したが、折しもの不景気でまったく働き口がなかった。大手企業で安泰と特別な資格も取っていなかった琴美は30歳間近という年齢もあって、応募したところはことごとく不採用になる。
秋田の実家を離れ、早7年が経つ。東京暮らしになれ、田舎の両親とも不仲で実家に帰ることもできない。
バイトすらなかなかない中で必死に貯金を食いつぶしながら就活を続け、たまたま応募したこの会社で直接、社長面接で拾ってもらったのだ。会社は数名しかいない小さな会社だが、給与も悪くない。琴美はやっと見つけたこの仕事を手放したくはなかった。