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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第6章 相部屋①
「はぁっ…。ここもか…。」

後輩の狩野孝宏が携帯を見ながら絶望したように呟く。

玉置菜摘と狩野孝宏は二人で出張し、仕事を無事に終え、帰るところだったのだが、台風の影響で激しい雨が降り、飛行機は欠航、新幹線は運休という憂き目に遭っていた。折しも明日からのお祭りで観光客が押し寄せ、泊まっていたホテルも含め、全室満室。手当り次第、孝宏は調べたホテルに電話するが、どこも満室で断らられ続けている。

「はぁっ…。仕方ないか…。」

その様子を横目に見ながら、菜摘はため息をついて決断する。その視線の先には怪しく光るネオンの看板があった。

「ねぇ…。もういいわ。あそこにいってみましょう。」

「えっ…?でも、あそこは…さすがに…。」

孝宏は菜摘の言葉に顔を上げ、菜摘の視線を追うと戸惑った声をあげる。

「仕方ないわよ。これ以上探しても見つからないだろうし…。」

「いや、でも…。」

それでも躊躇う孝宏だが、菜摘が震えている様子を見て決断する。

「わかりました。とりあえず空いているか行ってみましょうか…。」

二人は急いで雨の中をそのラブホテルへと向かっていく。傘はほとんど役に立たない。急いでホテルに駆け込むとロビーで空き部屋を確認する。高めの部屋が一つだけ空室の青色ランプがついている。

「ここでいいですか…?」

恐る恐るといった感じで孝宏が聞いてくる。

「いいわよ。早く部屋に行きましょう。」

菜摘は部屋のことより早くシャワーを浴びたかった。孝宏がボタンを押すとすぐにエレベーターへ向かう。エレベーターの中で菜摘は孝宏に言う。

「こんなとこに泊まったなんて誰にも言わないでね…。部屋は経費で落ちないだろうから私が出すわ。」

「誰にも言いませんよ…。それに半分は俺も出しますから。」

そんなことを話しながら部屋に入る。

「…っ!?なんかすごいわね…。ここ…。」

「…。そうすっね…。」

二人とも部屋に入って言葉を失う。豪奢な感じの部屋の様子にたじろぐ。大きな円形のベッドに革張りのソファ。それだけならいいが、磔台やら木馬やら、更にはコスプレ衣装まで用意されている。完全にSMプレイを目的とした部屋だった。

「狩野君、確か彼女いたわよね…?」

「えぇ…。まあ…。先輩も彼氏いますよね…?」

「うん…。まあね…。お互いに付き合っている人いるし、これは秘密ね…。」
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