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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第35章 エアコン修理
楢崎智亜(ならさき とあ) 27歳 

「はぁ…。やっぱり…修理頼まないとだめかしら…。」

初夏に入ったばかりなのに、すでに気温は30度に近く、蒸し暑い。Tシャツとショートパンツの部屋着を着た智亜はため息とともに恨めしそうにエアコンを見上げる。

智亜の着たTシャツは汗でべったりと肌に貼りつき、両胸の見事な膨らみを強調してしまっている。さらには小さな突起がほんの少しTシャツを押し上げている。

エアコンの冷房が効かず、部屋の中はかなりの蒸し暑さにだ。仕方なく智亜は少しでも暑さを和らげるため、ノーブラ、ノーパンの状態でTシャツとショーパンを身に着けているのだ。

「よりによって…誠也がいない時に…。」


1年前に結婚したばかりの智亜。夫の誠也は2週間前から1ヶ月半の海外出張に出たばかりである。智亜は休職中で半年後に復帰予定のため、家にいる時間が長い。それなのに効かないエアコン。ため息の1つでも出るというものだ。

電源はつき、暖房は動く。冷房が駄目。買い替えではなく、とりあえず修理か、そう智亜は考え、自分の手元に目を落とす。

そこには裏がマグネットになったカードが握られている。マンションの郵便受けに入れられたエアコン修理の広告。以前、郵便受けに入ってたのを捨てずに取って置いたものだ。

保証期間は過ぎているので、『見積り無料!地域最安値!』と書かれた文言に智亜は迷いなく電話をかけた。

「はい!お電話ありがとうございます!エアコンキッドです。」

数回の呼び出し音の後に若い男性と思われる元気な声が聞こえてきた。

「あ…、すみません。エアコンの調子が悪くて…。とりあえず見積りをお願いしたいんですが…。」

「はい。もちろんです!まずご住所を教えていただけますか?見積りにお伺いするのに、場所によってはお時間頂戴することになりますので。」

「あ、出来れは急ぎたいんですが…。場所は…。」

智亜が住所を伝えると、男性の思いがけない言葉が返ってきた。

「おや?それなら今、同じマンションにいますね。ちょうど別の階の方の修理が終わったとこなんです。」

「えっ!?あ…、そうなんですか?なら…どのくらいで来れますか?」

「一旦、荷物をまとめて…10分程度ですかね。大丈夫でしょうか?」

智亜は素早く部屋を見渡す。10分なら片付けられると判断する。

「大丈夫です…。」
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