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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第38章 キャンプ場
「ふぅ…。静かで気持ち良いな…。」

狩野孝宏29歳。大手IT企業に勤める若手の優秀社員である。休日を利用し、ソロキャンプに来ていた。あまり人気のないキャンプ場。設備もそこそこで昔ながらの雰囲気を残す。しかし、狩野は人が少ないからこそ、ソロキャンプを存分に楽しめるので、ここを選んでいた。

今も早々に焚き火を起こし、コーヒー片手に紫煙を吐き出す。小さなキャンプエリアにテントを張っているのは狩野だけ。誰にも気兼ねしないで済む。

「このまま1人かな…?」

夕刻の時間が近づく中、未だ他の客の姿が見えない。管理人もほとんど顔を出さないので、周りは静寂に包まれている。


「へぇ〜!こんなとこにテント張るの?私キャンプ場初めて来た〜!」

狩野が静寂を楽しんでいたその時、明るすぎる声が響く。さらに狩野の耳に複数の声が届く。

「辺鄙だね…。私、もっとおしゃれなとこで、グランピングとかが良かった…。」

「急に行こうって言うから…。ここしかなかったのって言ったよ…。」

ガヤガヤと3人の若い女性達が姿を見せる。狩野はタバコを焚き火に投げ入れ、コーヒーを飲むふりをして、その様子を伺う。

3人の後ろからは70代と思しき寡黙な管理人がヨタヨタついてきていた。

「ここがあんたらの場所じゃ…。テントの張り方はわかるちゅうたな?トイレはあそこ…。炊事場は向こうじゃ。客は…あんたらと…あの人だけじゃが…出来るだけ静かにな…。」

必要事項だけ言うと無愛想な老管理人は来た道を戻っていく。

『あんなんだから…人気出ないんだよな…。』

狩野は老管理人に呆れながら、視線を3人の女性に移す。

「さあ…、もうすぐ暗くなるから、テント張っちゃお…?」

黒髪ショートカットの女性がテキパキ準備を始める。まさに山ガールと言ったカラフルな服装に身を包んだ可愛い感じの女性。

「え〜、こんなに長くなるの〜?で、これ…どうするの〜?」

黒髪の長い髪を靡かせ、元気いっぱい好奇心に溢れ、スポーティな服装の女性が声大きくはしゃいでいる。

「もう…面倒くさいな…。どうやるの…?」

先ほどからブツブツ文句を言っている茶髪ロングのキツめな印象を受ける美人。服装もこんな辺鄙なキャンプ場には似合わないおしゃれ感溢れるものだ。

3人はガヤガヤ騒ぎながらテントを張っていく。
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