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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第39章 内見
「矢田先輩も浜口君も行けないとなると…。困りましたね…。お客様は早めに決めたい感じでしたし…。あの物件、他社でも扱ってますよね…。」

狩野が明日も内見したいと言ったが、会社に確認すると言って、狩野をリビングに残し、別室で電話しているのだ。

聞こえてくる声からして、柏木は休み。しかし、その他の社員も応対が難しいようだ。狩野としては「早めに決めたい」とは言ったものの、2、3日待っても構わなかったが、どうやら柏木は明日を逃せば、狩野が別の店に行ってしまうことを心配しているようだ。

そこそこの高級マンションの契約が取れれば営業職の成績として、ありがたいチャンスなのであろう。

電話の向こうで店長もスケジュールを確認しているようだが、難しいらしい。

「そうですか…。そしたら…私…出ましょうか…?はい…。予定はなかったですし…。はい…。直接物件に行って、終わったらそのまま帰りますね…。ありがとうございます。鍵は…。」

そこまで聞いた狩野はそっとドアの前から離れ、柏木に気づかれないようにリビングに戻る。

しばらく待つと、柏木が戻ってきた。

「すみません。お待たせいたしました。確認が取れて、明日の内見オッケーでした。」

「それは良かった。」

「では、明日の10時に直接物件の前でよろしいんですよね?」

柏木が確認をしてくる。

「はい。お店に寄るより、物件の方に直接行く方が近いので…。」

狩野は柏木の質問にそう答える。今、住んでいる部屋はちょうど物件と店の中間。店に行くより物件に行った方が早い。

明日の内見を約束し、2人は店に戻る。狩野は店に戻る車内の中、横で運転する柏木の姿を見ないようにしていた。明日は柏木と再び2人きり。そう想像すると、股間が膨れ上がりそうになる。それを抑制するのに必死だった。

店に戻り、いくつか確認事項を終えた狩野は店を出る。

「契約取れそうで良かったです。明日、どちらかに決めてくれそうですよ、あのお客様。」

狩野を見送った柏木は店長にそう報告する。

「すまないね。明日は休みなのに。しかし、若いのに、高給取りみたいだね。あのお客さん。」

「やり手っぽいですね。応対もスマートだし。きちんと細かいところまで確認されてましたし。」

「美月ちゃんも、あんな男を早く捕まえなよ?彼氏いないんでしょ?いいお年頃だし。叔父さん、心配だよ?」
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