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桜が咲く頃逢えたら
第9章 新しいカタチ
予約したお店に行く前に、百貨店に入ると、
「瑞樹、指輪、買わせて?」と言った。

「えっ?」

「なかなか会えなくて心配だし、
お守りみたいなもんかな?
男が寄って来ないようにしたいし」


手を繋いで、カルティエに入ると、
「ペアリング、見せてくれる?」と手近のスタッフさんに言った。


「あんまり大仰だと、
ご両親にバレちゃうからさ。
一番華奢なヤツにしようか?
本当に結婚する時は、
ダイヤモンドの指輪ともっと存在感あるペアリングにしたいな」と笑う。


亮平さんが選んだ指輪は本当に華奢で、
同じモノを亮平さんが嵌めるとあまり似合ってはなかったし、
ペアリングなら、亮平さんのは私がプレゼントしたかったけど、
さっさと2つ亮平さんは買ってしまうと、
予約しているお店に行った。


そして、お食事の前に、
そっと私に指輪を右手の薬指に嵌めてくれた。

「俺は左手に嵌めるよ?
瑞樹は、右手にしようね?
ご両親に見つかったら、
なんか言われるでしょ?
右なら、オシャレ指輪みたいだしさ」と言うので、
私が亮平さんの左手の薬指に指輪を嵌めた。


「今日、コドモが出来てたら、
すぐ、結婚しようね?
体調おかしかったら、すぐに連絡な?」と、頬を撫でながら言った。


予約してくれてたのは、
和食のミニ懐石だったけど、
亮平さんは豪快に平らげていく私を嬉しそうに見ているだけで、
お箸がちっとも進まなくて気になってしまう。


「そういえば、さっき、週刊誌がって言われたのは?」と訊くと、
「ああ。
元妻がね、ネタとして、
りんが死んだこととかを週刊誌の記事で書かせたんだよ。
悲劇の母親みたいな感じで。
離婚は俺の浮気が原因とか、
裏に若い女が居たとか。
その時、葬儀の時の写真使われたんだよ。
あ、モザイク入ってたよ。
でも、その後、
りんは俺の子供じゃなくて、
あいつの浮気で出来た子供だってこととか、
病気になってから、全く病院にも寄り付かなかったこととか、
色々暴かれて、
結果トーンダウンしたよ。
カムバックしたかったらしくて、そのネタにしようとして、
失敗したわけ。
瑞樹のことも、周辺取材で、
離婚後に知り合って、
りんにも付き添ってくれてたって、好意的なコメント貰えたから、
問題ないよ?
実名も勿論でなかったしね」と笑った。
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