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桜が咲く頃逢えたら
第10章 急転直下
「ごめん。
瑞樹ちゃんを怒ってるんじゃないよ?
大変な状況かもしれない瑞樹ちゃんを、
独りで放置してることに怒ってるんだよ」と言うと、
「あのさ。
何もしないから、一緒に寝たい。
心配過ぎて、独りに出来ないよ?」と言って、
そっと抱き締めてくれる。


私はそんな安西くんの身体をそっと押して、
「じゃあ、シャワーしてきて?
私もシャワーするね?」と言って、
バスルームに案内した。


髪をタオルドライしてると、
「乾かしてあげる」と言って、
ぎこちなくドライヤーを当ててくれて、
「同じシャンプーの香り…」と呟くと、
「一緒に居る感じがするから、
これ、使ってたよ?
結構探したんだよね」と安西くんは照れ臭そうに笑った。


そして、私の部屋に2人で行って、
ベッドに横になった。

安西くんは腕枕してくれると、
髪や背中を撫でながら、
「とにかく、明日、検査するか病院は行こうね?」と言って、
「電話、明日には来るよ。
いつも、電源、切ってるだろうけど、
付けっぱなしにしておこうね?
おやすみ」と笑った。


私は少し震えながら泣いてしまったけど、
背中を撫でて貰っているうちに落ち着いたのか、
いつの間にか眠ってしまった。







翌日になっても、亮平さんからは電話もなくて、
LINEも既読にはならなかった。


留守にするからと冷蔵庫はほぼ空になっていたので、
安西くんの車で外に朝食を取りに行きがてら、
ドラッグストアで試薬を買って帰った。


そして、調べてみたら陽性だった。


安西くんは、
「どうするの?
本当に産むの?」と静かな声で言った。


私は安西くんを真っ直ぐ観ながら、
「勿論、産みます」と言うと、
安西くんはポロリと涙を流しながら私を抱き締めた。



そして、
「じゃあ、あのオジサンに会いに行こう。
自宅、判るよね?
連れて行くから。
その後、一緒に病院かな?
予定日確認したり、
すること、あるでしょう?」と言ってくれた。


私は何の疑問も持たずに、
安西くんの車に乗り込んだ。
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