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桜が咲く頃逢えたら
第10章 急転直下
貰っていた合鍵で本当に久し振りの亮平さんの部屋のドアを開けると、
室内は若干散らかっていて、
でも人の気配は全くと言って良いほどしなかった。

部屋の中は蒸し暑くて、
キッチンのシンクは水滴一つもない。

バスルームも使ってる形跡はなくて、
水滴の跡が鱗のようになっている。

お手洗いも、便座の中の水が少し減っていた。


「えっ?」


私はヘナヘナとソファに座り込んでしまう。


「ずっと留守してるみたいな感じだね?
他に共通の知り合いとか、居ないの?」
と訊かれて、
貰った名刺に電話をしてみると、

「宇田川は退職しました」と告げられる。


江川さんに電話してみると、
留守電になってしまったので、
折り返ししてくださいとだけ入れてみた。


「うっ…。
お腹…、痛い…」と蹲ってしまう。


お手洗いを借りると、
出血していたので、
慌ててバッグに持ち歩いているポーチからナプキンを出して当てる。


「生理、来た…みたい」と言ってみたけど、
「心配だから病院、行こうね?」と言われて、
その足で近くの病院に連れて行かれる。

以前、紘子さんと亮平さんに連れて行かれた病院だったけど、
同じ先生は夏休みで居なかった。


「ん?
妊娠初期だね?
切迫流産しそうになってるから、
このまま、入院だね。
そちら、ご主人?」と、
少し歳を取った男性の医師に訊かれて、
「はい。
そうです。
まだ、入籍してなくて…」と安西くんが言うと、
「未成年だよね?
ご両親には?」と更に言われてしまう。


私は泣きながら、
「赤ちゃん、助けてください」としか言えない。


「僕から両親には話をするので、
まずは入院して治療をお願いします」と言って、
私の手を握ってくれる。


「個室しか空いてないですよ?」と言われて、
少し豪華な個室に通されて2人きりになると、
安西くんは私にこう告げた。


「あのさ。
あいつ、居なくなったんじゃないの?
それでも産みたいんだよね?」

私は震えながら頷いた。
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