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桜が咲く頃逢えたら
第11章 暗闇の中へ
「来月はお誕生日ね?
20歳になる記念のお誕生日だから、
盛大にお祝いしましょうか?」とウキウキした顔で言うママの顔を、
私は見ることが出来ないまま、
ノロノロと毎日をやり過ごすような日々を過ごしていた。


秋の爽やかな風と空を感じるような朝、
いつものように大学の1限に間に合うように迎えに来た安西くんは、
無言のまま、車を走らせる。


そして、大学ではなくて、
近くにある大きな大学病院に私を連れて行った。
エレベーターの中でも、
息が苦しくて、倒れそうになる。


「ここ…」

「瑞樹ちゃん、落ち着いてね?
亮平さん、もう…厳しくて、
最期に瑞樹ちゃんに…」

「嘘よ…」

「生命維持装置、外してあげないと…可哀想で…」

「いやっ。そんな…」

私は後退りすると闇雲に走り出してしまった。

「瑞樹ちゃん、待って!
危ないからっ!」

安西くんの声が遠くで聴こえるような気がした。


その後の記憶はなかった。
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