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桜が咲く頃逢えたら
第11章 暗闇の中へ
久し振りに戻った東京のマンションは、バリアフリーのリフォームがされていた。

「あら?
紘子さんは?」と訊くと、
「実家に帰ったよ。
代わりに僕がシェアさせて貰うから」と安西くんが言う。

「えっ?
あ、そうか。
司法試験の勉強しないといけないものね?」と言いながら、
頭の中には白い靄が掛かっているようで、
とても大切なことが思い出せない。


ヘルパーさんだという女性が、安西くんの車で一緒に大学に付き添ってくれるので、
車椅子でもそんなに不自由はしない。
お料理や入浴も手伝ってくれてから帰って行く。


夜8時には相変わらずママから電話が来て、
他愛ない話をして、
夜は2つ並んだベッドに安西くんと横たわる。

いつも怖い夢を見て目を覚ますと、
安西くんは「大丈夫?」と言って髪や背中を撫でて、
私が眠るまで小さい声で古いビートルズの曲を歌ってくれる。


ベランダに出たいと思ったけど、
私には届かない処に、鍵がついていて、
独りではベランダに出ることも出来なかった。


タロウを連れて、車椅子を押して貰ってお散歩やお買い物に出ることもあった。

授業の合間にリハビリにも連れて行かれたけど、
私の脚は言うことを聞いてくれないようだった。


「焦らない方が良いよ」と、
安西くんは言ってくれて、
私を支えたり抱えたりしてくれていた。


司法試験の予備校の授業は、
オンラインに切り替えて貰って、
安西くんと2人でモニターを観ながら勉強した。


クリスマスには、安西くんのご実家に呼んで貰って、
アメリカから帰国した下のお兄様ともお会い出来た。

欧米人のような安西くんのご両親の家では、
ローストチキンやポテト料理が並んでいて、
皆さん、すごい食欲でびっくりしてしまった。


「女の子は少食だね?」と笑われながら、
食卓を囲んで楽しいクリスマスだった。



お正月は安西くんの車で実家に行ったけど、
パパは外出していて、
ママもなんだかよそよそしかった。

お重に御節料理を詰めて貰って東京のマンションに戻って、
安西くんと2人になると、
なんだかホッとした気持ちになった。


でも…。
何か大切なことを思い出せないような、
変な気持ちで過ごしていた。
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