この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
桜が咲く頃逢えたら
第11章 暗闇の中へ
「亮平さんが入院していた病院に僕が連れて行って、
瑞樹ちゃん、ごめんね。
僕が瑞樹ちゃんを守れなくて…」


「えっ?」


「走り出した瑞樹ちゃんを止められなくて、
階段から落ちたんだ」


安西くんの悲痛な声が遠くで聴こえたのを、
ぼんやり思い出していた。


「それでね、
赤ちゃん、20週目くらいだったそうなんだけど、
助けられなかったんだ。
心音が止まってしまって、
お腹から出してあげないと、
瑞樹ちゃんまで危険だってなって、
緊急手術して…」


「私がいけなかったの。
私のせいなの」


「違うよ。
亮平さんが居なくなることに耐えられなかっただけだよ?
或いは…、亮平さんが月(るな)ちゃんを連れて行きたかったんだよ」と言って、安西くんは私を強く抱き締めた。


「瑞樹ちゃん、頭も打ってたし、
暫く意識障害もあって、
全然喋れなかった。
それと、骨が折れた訳じゃないのに、
歩けなくなっちゃって。
精神的な理由かもしれないし、
のんびりリハビリすれば良くなるって言われて退院したんだよ」と、
私の脚にそっと触れた。


「どうして、私、
安西くんと住んでるの?」

「えっとね、ほら、前に話したでしょ?
瑞樹ちゃん、赤ちゃん産みたいって言ってたけど、
亮平さん、一緒に居れないし、
6ヶ月過ぎるまで、瑞樹ちゃんのご両親に内緒に出来なかったら、
僕との間の赤ちゃんにすれば良いって」

「えっ?」

「僕の母さんだけ、
その話してたけど、
瑞樹ちゃんが亮平さんの病院で階段から落ちて、
大変なことになっちゃった時に、
瑞樹ちゃんのご両親に話さないといけなかったから、
当初の予定通り、僕が父親だって言ったんだよ」

「そんな…。
だから、安西くん、パパに謝ったりしてたの?
それもぼんやり覚えてる」

「まあ、殴られたりはしなかったから」と笑うけど、
私は笑えなかった。


「オヤジとかは知らないよ。
でも、階段から落ちて頭を打ったことは伝えてて、
凄く瑞樹ちゃんのこと、
心配しちゃって、
だから、クリスマスの時も、
凄く瑞樹ちゃんのこと、気にしてたでしょ?」


「その分、うちのパパとママ、
安西くんに酷いこと言ってるんじゃない?」

「そんなこと、全然良いよ。
瑞樹ちゃんさえ、良ければ気にならないから」

「そんなの嫌。
私、パパとママに、本当のこと、言うわ?」
/155ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ