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桜が咲く頃逢えたら
第11章 暗闇の中へ
明け方にふと、目が覚めると、
安西くんが私の顔を観ていて恥ずかしくなってしまう。

「ん?
眠れないの?」と言われて、
そっと首を横に振ると、
安西くんにお願いごとをした。


「りんくんの命日の3月20日に、
お墓参りに連れて行って?
それまでに少しでも歩けるようにするから…」と言うと、
「無理しなくて良いよ?」と言いながら、
「でも、リハビリする元気が出たなら、
それは良いことだしね?」と私の髪をそっと撫でてくれる。



「今度の択一、
私も受けれるかな?
でも、勉強出来てないし。
安西くんだけでも、受けて来てね?」と言うと、
「そうだね?
あと2回しかチャンスないと思って、
頑張るよ?
でもさ、瑞樹ちゃん、地頭、良いから受かるかもよ?」と頭を撫でて、額にキスをしてくれる。


「3月20日なら…桜、咲いてるかな?」

「咲いてると良いね。
咲いてるかもね?」と言って、
「もうちょっと眠ろうか?」と抱き締めてくれる。


腕枕をしてくれる安西くんにしがみついて泣きながら、
「3月20日は…月(るな)ちゃんの予定日だったの…」と言うと、

「うん。
そうだね?」と言いながら、
背中をゆっくり撫でてくれる。


「月(るな)ちゃんが流れたのは、
瑞樹ちゃんのせいじゃないよ?
もう苦しまないで?」

「えっ?」

「もしかしたら、僕が…。
ヤキモチ焼いたりして、
居なければ良いのにって心の中で思ってたからかもしれない」

「安西くん、優しいのね?
それこそ、安西くんのせいじゃないのに…」
と泣いた。


「なんで、月(るな)ちゃんなの?
亮平さんと話してたの?」

「ううん。
結局、亮平さんには赤ちゃんのこと、
お話も出来なかったの。
LINEも既読にならないままだった。
でもね、
夢の中で、なんとなくそう呼んでいたの」と言うと、

「性別も人種も超えた、
素敵な名前だね?」と言って、額にキスしてくれた。
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